小さな漁村だった「深圳」
深圳(しんせん)は、広東省の省都・広東市から南東部に位置し、珠江デルタ地域に含まれます。「深圳」という地名は、明永楽六年(1408年)の『永楽大典』に初めて登場しました。客家(はっか)の方言では田畑の溝を「圳」と呼ぶようで、この地には川や沼が多く、田んぼのほとりに深い溝があったことから、このように命名されたそうです。「深圳」の歴史を簡単に追っていきましょう。夏、商の時代まで、深圳は「百越部族(古代中国大陸の長江以南から現在のベトナムに至る広大な地域に住んでいた越諸民族の総称)」の支族とされる「南越」と呼ばれる民族の居住地でした。南越の抵抗があったものの、秦、漢の時代には南海郡を、東晋の時代には宝安県を置き、各王朝はこの地の統治を進めました。そして、宋の時代になると、南方海上貿易の重要な拠点となり、小さな漁村だった深圳は製塩業や香料で繁栄しました。元の時代には真珠の産地としても名を知られるようになります。そして、明の時代に現在の深圳や香港に相当する地域に新安県が新設されます。清の時代末期、南京条約と北京条約により香港島と九龍半島がイギリスの租借地となって以降その境界付近では、市場が定期的に開かれ、物資が集まりさらに繁栄します。1914年には宝安県と改称され、1979年3月、広東省の宝安県が深圳市に改名されました。
経済特区「深圳」
1970年代、人口数万人ほどの漁村だった深圳は、わずか40年という短期間で、1400万人を擁する近代都市に変貌を遂げました。この急速な発展は、中国改革開放政策の一つとして経済特別区に指定された1980年を起点として始まったとされています。1992年に鄧小平氏が「南巡講和」の一環で深圳を視察しました。それをきっかけに、市場開放が一気に進み、深圳は貿易拠点である香港に近い地の利を活かして、多くの外国資本を呼び込み、委託加工の受け皿となりました。1990年代から2000年代前半頃まで続いた委託加工を中心とした加工貿易は経済発展の原動力となり、深圳はやがて世界有数の製造拠点となります。また1990年には深圳証券取引所が設立され、金融センターとしての地位も確立しています。
北京オリンピック開催の2008年以降、製造・加工貿易依存からの脱却をめざして、インターネット、金融、バイオ、新エネルギーなどの「戦略的新興産業」の育成が始まり、産業構造の多様化が図られました。経済特区の恩恵と政府からの様々な後押しを受けることで、深圳には優秀な人材、知識、技術が集まることとなり、設計から製造、組み立て、検品、出荷までを高速でできる都市となっていきました。また、深圳はスタートアップが多く集まるイノベーション都市ともなり「アジアのシリコンバレー」とも呼ばれるまでに成長し、世界中から注目を集めています。
深圳発の有名企業として、アジアで最も早く時価総額5000億ドルを突破したIT企業「騰訊テンセント」、ドローンの世界シェア70%を占めるドローンメーカー「大疆創新(DJI)」、米国規制で打撃を受けたことでスマホ出荷台数世界第3位に後退した「華為(HUAWEI)」などが挙げられるほか、今やgoogle研究開発拠点やAppleの開発拠点も擁しています。スタートアップが多いことも深圳の特徴の一つだと先ほどあげましたが、企業向けのシェアオフィスが市内に250ヶ所以上あり、起業率は15%にものぼります。
製造業は深圳の質の高い発展を牽引する確かな原動力となっています。ここ数年、深圳は第二次産業の比重が基本的に40%前後を維持しています。2019年は39%で、広州市の27.3%、上海市の26.9%、北京市の16.2%を上回りました。2018年に深圳は、全国で初めて製造業の付加価値が9千億元(約15.3兆円、1元=約17円)を突破した都市になりました。このうち電子情報業の規模は中国全体の6分の1を占め、全国のトップを走っています。製造業の発展は、個々の企業の存在と切り離せません。現在、深圳には国家級ハイテク企業が1万7千社以上と、年売上高2000万元(約3.4億円、1元=約17円)以上の企業が1万社以上集まっています。
若い大都市「深圳」
深圳は、無名の「小さな漁村」から現代的な大都市へと変貌を遂げました。深圳市は香港新界と隣接し、市内全域が経済特区に指定され、北京市、上海市、広州市と共に中国四大都市と称される「北上広深」の一つで、全国的な政治活動や経済活動などの社会活動で重要な地位にあり、指導的役割を備え、波及力・牽引力をもった大都市、いわゆる「一線都市(または一級都市)」に分類されます。
現在、深圳市の人口は1270万人を超えており、住民の平均年齢は約32歳、65歳以上の人口はわずか2%と、街全体が大変若いことが特徴的です。深圳の人口密度は中国本土で一番高く、上海の約2倍の6484人/㎢です。東京都が6367人/㎢(2020年10月)ですから、深圳の密度が高いことがわかります。不動産価格でみますと、深圳のオフィスビルの販売価格は上海に次いで高く、2021年1平米あたりの平均価格は7.6万元(約129万円、1元=約17円)です。住宅用地の販売価格は北京、上海とほぼ同じで2021年1平米あたりの平均価格は4万元(約68万円、1元=約17円)と非常に高い水準となっています。これは、人口の急増と土地が狭いことが原因でしょう。しかし、北京や上海と違うのが、しがらみや既得権益もないということです。若い人たちが夢をもって集まり、一所懸命に働いて夢が実る場所が、ここ深圳です。多くの若者たちは「ハイテク産業」「金融業」「物流業」「文化・創造産業」で働いています。2019年、これらの産業の産出高はGDPの約65%を占め、その中でもハイテク産業の付加価値はGDPの約34%を占めています。深圳の特許申請件数は、中国全体の30%です。2020年の経済成長率は3.1%となり、若い大都市「深圳」の成長は今後も続くと予想されます。
ワークプレース「深圳」
深圳の賃貸オフィスは、主に香港新界に隣接する福田区、羅湖区、南山区の3つの地区に集中していますが、龍崗区と龍華区にも賃貸オフィスの物件が見つかります。
深圳の賃貸オフィス物件の賃料と管理費は他の主要都市と同じように、別々で表示されており、賃料には管理費が含まれていないのが一般的です。深圳では、賃料と管理費はともに「1ヶ月当たり1㎡何元」で表示されます。各物件の賃料は同じ建物内であれば、あまり差はありませんが、管理費は築年数、立地する階数、同じ階でも立地する位置、方角、採光性などによって物件ごとに異なり、その差はかなり大きくなっています。
また、敷金については、200平米以下の物件の敷金は家賃2ヶ月分ですが、平米数の大きい物件や人気物件は、半年分の敷金の支払いが求められることもあります。途中解約の場合は敷金が返還されませんが、契約終了で退去のとき、よほどのことがない限り敷金が戻ってきます。通常、オーナーが原状回復を求めることはありませんが、契約時に原状回復を規約に定めたケースもあります。その場合、原状回復の費用負担は賃貸契約を仲介した不動産業者と相談するようになっています。
福田区にある4つの商業地区
福田区は香港と隣接する4つの行政区の一つで、2007年から福田口岸が開通し、香港側の落馬洲駅と接続しました。福田保税区がこの国境付近に立地しています。広深高速道路皇崗インターチェンジが使える利便性があり、この地区は香港と接続する一大物流拠点となっています。福田区の中心部にコンベンションセンター(会展中心)があり、その周辺にはオフィスビルが林立しています。近年では、ショッピングモールが作られ、週末には多くの地元民でにぎわっています。また、華強北路の一帯は電気街となり、科学館駅の近くにイオンが出店しています。
① 香蜜湖商業地区(シャンミーフー)
香蜜湖商業地区には6件のオフィス賃貸物件があります。この地区のオフィスの平均賃料は月214.5元/㎡で、日本の坪単価に換算すると、一坪約12、000円/月になります(1元=約17円)。オフィスの販売価格は111、669元/㎡で前年に比べ0.12%下落しています。最も人気のある物件は、中投国際商務中心(中国投資国際ビジネスセンター)と銀座国際(ギンザインターナショナル)です。
中国投資国際ビジネスセンター(住所:深圳市香梅路1061号)
このオフィスビルは22階建て、建築面積は61、677㎡、床面積は8、805㎡、標準階高は4.00m、駐車場は地上に1台、地下に1台あります。テナント募集中の賃貸物件は9件で、デベロッパーは深圳市朗日実業発展有限公司、不動産管理会社は深圳市新中投不動産管理有限公司です。平均賃料は月214.5元/㎡、管理費は月額16元/㎡です。
銀座国際サンシャインゴルフビル(住所:深圳市深南大道7008号)
このオフィスビルの建築面積は35、675㎡、床面積は6、011㎡、駐車場は地上に25台、地下に450台あります。テナント募集中の賃貸物件は6件で、デベロッパーは深圳市ゴルフ開発設計有限公司、不動産管理はデベロッパーと同一会社です。平均賃料は月151.63元/㎡、管理費は月額7.8元/㎡です。
参照:https://cj.sina.com.cn/articles/2603857891/9b33b7e302001r05r (アクセス日:2021年9月20日)
②華強商業地区(フウァチアン)
華強商業地区のオフィスの平均賃料は月110.58元/㎡で、日本の坪単価に換算すると、一坪約6、170円/月になります(1元=約17円)。前年に比べ4.61%の下落です。オフィスの販売価格は111、669元/㎡と前年に比べ0.12%下落しています。この商業地区には79の物件があり、最も人気のある物件は、Hon Kwok Center(漢國中心)、和黄メトロポリスオフィス、コーストセンター、華強プラザオフィス、電子科学技術ビル、SEGサイエンスアンドテクノロジーパークなどが挙げられます。
華強プラザ(オフィス)(住所:深圳市華強北路1019号)
このオフィスビルは36階建て、建築面積は230、980㎡、床面積は26、032㎡、標準階高は4.00m、駐車場は地上に1台、地下に1360台あります。テナント募集中の賃貸物件は21件で、デベロッパーは深圳市華強北不動産開発有限公司、不動産管理会社は華強集団不動産管理有限公司です。平均賃料は月80元/㎡、管理費は月額10元/㎡です。
参照:http://k.sina.com.cn/article_2603857891_9b33b7e302001obc8.html (アクセス日:2021年9月20日)
Hon Kwok Center(漢國中心)(住所:深圳市深南中路3031号)
このオフィスビルは91階建て、建築面積は171、180㎡、床面積は7、845㎡、標準階高は3.9m、駐車スペースは500台です。テナント募集中の賃貸物件は45件で、デベロッパーは深圳市広海投資有限公司、不動産管理会社はShibang Wei Lishi Property Consultants(China)Co.、 Ltd.です。平均賃料は月176.6元/㎡、管理費は月額32元/㎡です。
参照:http://www.h61889.com/xinwen214.html (アクセス日:2021年9月20日)
③上步商業地区(スァンブ)
上步商業地区のオフィスの平均賃料は月87.72元/㎡で、日本の坪単価に換算すると、一坪約4、900円/月になります(1元=約17円)。オフィスの販売価格は70441元/㎡、前年に比べ0.24%下落しています。この商業地区には26件の賃貸物件があり、人気のある物件は、中信シティプラザ、T-Park深圳香港映画テレビクリエイティブパーク、中新タワーなどです。
中信シティプラザ(住所:深圳市深南中路1095号)
このオフィスビルは25階建て、建築面積は150、000㎡、床面積は51、000㎡、標準階高は3.6m、駐車場は地上に97台、地下に680台あります。テナント募集中の賃貸物件は2件で、デベロッパーは中信深圳集団公司、不動産管理会社は中信不動産管理有限公司です。平均賃料は月98元/㎡、管理費は月額30元/㎡です。
参照:https://news.3fang.com/bj/2021-07-11/40469730.html (アクセス日:2021年9月20日)
T-Park深圳香港映画テレビクリエイティブパーク(住所:深圳市濱河大道2001号)
このオフィスビルは10階建て、建築面積は20、000㎡、床面積は12、000㎡、標準階高は4.3m、駐車場は地上に130台、地下に50台あります。テナント募集中の賃貸物件は13件で、デベロッパーは深圳市世傑文化投資有限公司、不動産管理会社は同じ会社です。平均賃料は月148元/㎡、管理費は月額22元/㎡です。
参照:https://sz.centanet.com/xiezilou/loupan/75521040481.html (アクセス日:2021年9月20日)
④八卦岭商業地区(バークァリン)
八卦岭商業地区には23件のオフィス賃貸物件があります。この地区のオフィスの平均賃料は月84元/㎡で、日本の坪単価に換算すると、一坪約4、700円/月になります(1元=約17円)。最も人気のある物件は、清鳳ベンチャーキャピタルビル、鵬基ビジネスタイムアンドスペース、平安ビルディングなどが挙げられます。
清鳳ベンチャーキャピタルビル(住所:深圳市八卦三路88号)
このオフィスビルは27階建て、建築面積は54、470㎡、床面積は9、079㎡、駐車場は地上に1台、地下に1台あります。テナント募集中の賃貸物件は1件で、デベロッパーは四川省清鳳不動産開発有限公司、不動産管理は成都市金優不動産管理有限公司です。平均賃料は月80元/㎡、管理費は月額18元/㎡です。
参照:https://cj.sina.com.cn/articles/2603857891/9b33b7e302001qgz4 (アクセス日:2021年9月20日)
鵬基ビジネスタイムアンドスペース(住所:深圳市八卦一路50号)
このオフィスビルは25階建て、建築面積は30、334㎡、床面積は10、847㎡、標準階高は3.00mです。テナント募集中の賃貸物件は2件で、デベロッパーは深圳深圳鵬基(集団)有限公司、不動産管理会社は深圳鵬基不動産管理サービス有限公司です。平均賃料は月98元/㎡、管理費は月額3.5元/㎡です。
参照:https://sz.esf.fang.com/loupan/office/2810781580.htm (アクセス日:2021年9月20日)
羅湖区東門商業地区(ドンメン)
羅湖区は深圳市の都心部にあります。東門商業区の一帯は、歩行者天国のある商業地区として栄えています。この区は香港に隣接しており、サービス業を中心とした商業が発展しています。
東門商業地区には82件のオフィス賃貸物件があります。この地区のオフィスの平均賃料は月83.22元/㎡で、日本の坪単価に換算すると、一坪約4、670円/月になります(1元=約17円)。オフィスの販売価格は54、570元/㎡、前年に比べ0.51%下落しています。人気のある物件は、鴻昌プラザ、天安国際ビル、中国世界貿易センター、太陽島ビル、神華商業ビル、南部証券ビルなどです。
鴻昌プラザ(住所:深圳市深南東路2001号)
このオフィスビルは67階建て、建築面積は131、165㎡、床面積は12、610㎡、駐車場は地上に1台、地下に406台あります。テナント募集中の賃貸物件は14件で、デベロッパーは鴻昌置業発展(深圳)有限公司、不動産管理会社は戴徳梁行不動産顧問(深圳)有限公司です。平均賃料は月92.75元/㎡、管理費は月額25元/㎡です。
天安国際ビル(住所:深圳市人民南路3012号)
このオフィスビルは34階建て、建築面積は88、000㎡、床面積は12、000㎡、標準階高は3.4mです。駐車場は地上に30台、地下に230台あります。テナント募集中の賃貸物件は9件で、デベロッパーは深圳市天安不動産開発有限公司、不動産管理は深圳天安不動産管理有限公司です。平均賃料は月81.39元/㎡、管理費は月額27元/㎡です。
参照:http://k.sina.com.cn/article_2603857891_9b33b7e302001ojgv.html (アクセス日:2021年9月20日)
南山区南頭商業地区(ナントゥウ)
深圳のハイテク産業は南山区に集まっています。テンセント、ZTEなどの中国国内の大手企業は南山区に本社を持っています。南山区は深圳のハイテク産業集積地として知られ、区内には、科学技術公園、大規模なハイテクパーク、バイオエンジニアリング、新素材産業が集積しています。
南山国ある南頭商業地区には23件のオフィス賃貸物件があります。この地区のオフィスの平均賃料は月105.51元/㎡で、日本の坪単価に換算すると、一坪約5、920円/月になります(1元=約17円)。オフィスの販売価格は74、751元/㎡、前年に比べやや上昇しています。賦安科学技術ビル、南山デジタル文化産業基地、創新ビルが人気物件です。
賦安科学技術ビル(住所:深圳市高新南一路13号)
このオフィスビルは10階建て、建築面積は40、000㎡、床面積は12、000㎡、標準階高は3.9mです。駐車スペースは地上50台と地下200台です。テナント募集中の賃貸物件は5件で、デベロッパーは賦安安全システム有限公司、不動産管理会社は深圳緑景不動産管理有限公司です。平均賃料は月129.66元/㎡、管理費は月額10元/㎡です。
南山デジタル文化産業基地(住所:深圳市深南大道10128号)
このオフィスビルは32階建て、建築面積は75、000㎡、床面積は43、522㎡、標準階高は5mです。駐車場は地上に200台、地下に300台あります。テナント募集中の賃貸物件は2件で、デベロッパーは深圳佳和不動産開発有限公司、不動産管理は同じ会社です。平均賃料は月76.93元/㎡、管理費は月額3.5元/㎡です。
参照:http://k.sina.com.cn/article_2603857891_9b33b7e302001r57n.html (アクセス日:2021年9月20日)
龍崗区龍崗中心地商業地区(ロンガゥン)
龍崗区は深圳中心部の羅湖区の北に位置し、居住地としての都市計画区域の整備と開発が進んでいます。この地区のオフィスの平均賃料は月56.72元/㎡で、日本の坪単価に換算すると、一坪約3、180円/月になります(1元=約17円)。オフィスの販売価格は40、983元/㎡で前年に比べ0.57%上昇しています。この地区のオフィスの賃料と販売価格は香港に隣接する4つの区に比べて、かなり手頃な価格です。この龍崗中心地商業地区には91件のオフィス賃貸物件があります。中糧祥雲プラザ、正中タイムズスクエア、楽年プラザが人気物件です。
中糧祥雲プラザ(住所:深圳市龍崗大道与如意路交匯処)
このオフィスビルは40階建て、建築面積は278、000㎡、床面積は27、040㎡、標準階高は4.2mです。駐車スペースは1140台です。テナント募集中の賃貸物件は4件で、デベロッパーは深圳錦峰城不動産開発有限公司、不動産管理会社は中糧地産集団深圳不動産管理有限公司です。平均賃料は月50.67元/㎡、管理費は月額3.8~12元/㎡です。
正中タイムズスクエア(住所:深圳市龍城大道99号)
このオフィスビルは23階建て、建築面積は130、000㎡、床面積は18、716㎡、標準階高は3.9mです。駐車スペースは1000台です。テナント募集中の賃貸物件は8件で、デベロッパーは正中集団、不動産管理は正中企業サービス有限公司です。平均賃料は月56.67元/㎡、管理費は月額8.2元/㎡です。
参照:http://k.sina.com.cn/article_2603857891_9b33b7e302001pvww.html (アクセス日:2021年9月20日)
龍華区大浪商業地区(ダーラン)
龍華区は深圳中心部の福田区の北に位置します。ここに沢山の工場が集まり、この地区は製造業の生産拠点ともなっています。龍華区にある大浪商業地区には37件のオフィス賃貸物件があり、オフィスの平均賃料は月61.4元/㎡で、日本の坪単価に換算すると、一坪約3、440円/月になります(1元=約17円)。オフィスの販売価格は45、907元/㎡、前年に比べ2.1%下落しています。この地区の人気ある物件は、恒大時尚慧谷ビル、大衆パイオニアパーク、嘉安達ビル、展潤国際ビルなどです。
嘉安達ビル(住所:深圳市大浪華繁路110号)
このオフィスビルは28階建て、建築面積は51、655㎡、床面積は8、886㎡、標準階高は3.6mです。駐車場は地上に1台、地下に280台あります。テナント募集中の賃貸物件は2件で、デベロッパーは嘉安達投資集団、不動産管理会社は嘉安達不動産管理有限公司です。平均賃料は月70.52元/㎡、管理費は月額8.25元/㎡です。
参照:https://news.3fang.com/bj/2021-08-08/40828846.html (アクセス日:2021年9月20日)
イノベーション都市「深圳」
中国政府は、2019年に「大湾区構想」を発表しました。これは、深圳を含む大陸南部の都市や香港、澳門(マカオ)も巻き込む面積約5.6万㎢の巨大な経済圏構想です。2035年を一つの区切りとして「経済力やテクノロジーを大幅に増強し、国際競争力をつけ、イノベーションで発展を遂げる地域にする」ことを目標に掲げています。2020年8月の時点で、深圳の前海蛇口自由貿易エリアの登録企業数は15万4千社に達し、フォーチュン・グローバル500社番付投資企業が累計324社、大陸部で上場する投資企業が累計934社に達しました。これから、企業の研究開発センターや大学の研究機関はもちろん、様々なプレーヤーやスタートアップ企業の新規参入が予想され、新しいアイディアや発想が生まれてくることを期待して投資も活発化していくでしょう。
深圳には「来了就是深圳人(深圳に来れば、みんな深圳人である)」という言葉があり、「外来人(他所者)」を受け入れるオープンな土壌があります。急速な経済発展に伴い、中国各地から、そして世界中から人が吸い寄せられると考えられます。深圳は、世界のイノベーション都市として今後も発展していくことが期待されます。
記事作成者
陸 亦群(りく・ゆうぐん)
日本大学経済学部・大学院総合社会情報研究科教授。専門領域は国際経済学、開発経済学。日本大学通信教育部を経て、2018年より経済学部に奉職。中国・上海市出身。中高時代は上海外語大付属で学び、1990年に来日。日本大学経済学部卒業、同大大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。日本国際情報学会理事。NPO法人RIIT理事。 |
コメント ー日本大学経済学部教授 井尻直彦ー
深圳は、人類史上、最も速いスピードで人口が増加した都市と言われています。本文にもあるように、経済特区に指定されてからの深圳は、指数曲線を描くように人口が増え、経済も成長しました。スタートアップが集積し「中国のシリコンバレー」と呼ばれる南山区には、近年、深圳大学城(大学街)が建設され、北京大学、清華大学、ハルピン工科大学など中国の名門大学がキャンパスを構え、大学院レベルの教育、研究を進めています。これらの大学には英語プログラムもあり、世界から留学生を惹きつけています。今後も、中国内外から若い人々がこの地に集まり、活躍するスタートアップに触発され、次世代のスタートアップが誕生することが期待されます。
井尻 直彦(Naohiko Ijiri)
日本大学経済学部教授,前経済学部長。専門は国際経済学。静岡英和学院大学を経て,2003年より日本大学経済学部に奉職。OECDコンサルタントなどを経験。日本大学経済学部卒業,英国Nottingham大学大学院修士課程(MSc)修了。2019年よりNPO法人貿易障壁研究所(RIIT)を立上げ,理事長・所長を務める。 |