グレートエスケープ!!中国本土・香港からの知識階級と人財大移動がはじまっている

2024.05.20

シンガポール賃貸市場の最新動向と成功の秘訣

世界の金融センターとして知られるシンガポールの不動産事情

シンガポールは人口約570万人で、国土面積は日本の東京23区とほぼ同じです。人口構成は中華系が74%(約420万人)、マレー系が14%(80万人)、インド系が9%(50万人)で、世界中からビジネス目的で滞在する人口(約100万人)もいます。この多文化共生社会では、英語、広東語、北京語を使用し、国際的なビジネスネットワークを築くことが可能です。

 

金融センターとしてのビジネスハブは、香港からシンガポールへと移行しました。HSBC、シティバンク、バークレイズ銀行、UOB、東京三菱UFJ銀行、三井住友銀行など、世界の主要金融機関がシンガポールに拠点を設けており、地銀の進出も相次いでいます。

 

外国人に対する不動産購入時の印紙税は60%にもなりました。不動産投資の熱意は衰えていません。例えば、ジャック・マーの妻が中心地の店舗付き住宅を56億円で購入したことがニュースで話題になりました。中心街の住宅市場は非常に高価で、2LDKで月55万円以下の賃貸物件はほとんどありません。高い給与と高い物価がシンガポールの特徴です。

 

中国本土のビッグテック経営者や香港の知識階級人財が海外に流出しており、その規模は100万人を超えると言われています。また華僑華人の8,000万人の動向は日本経済にも大きな影響を与えるでしょう。

 

まさにグレートエスケープ、習近平政権を逃れようとする中国の富裕層や華僑の中には、疑心暗鬼にかられながらもシンガポールの不動産に投資する者も多いです。

 

シンガポールの悪習慣「マイナーリペア制度:Minor Repair」

シンガポールの悪習慣「マイナーリペア制度:Minor Repair」

シンガポールの賃貸契約には「マイナーリペア制度」という特約が存在します。この制度により、不動産の価値を損なうことがあり、借主に不利な状況を招くことが多いです。そのため、契約を結ぶ際には「マイナーリペア制度」の特約を削除するよう、代理人(POA:パワーオブアトーニー)に依頼することが推奨されます。

 

貸主の資産であるメンテナンスの一部を借主が負担することを定めた「マイナーリペア制度」

以下のような一般的なトラブルに関連しています。

 

① エアコンが冷えない

② 水道管が詰まる

③ 蛍光灯が切れる、または照明器具が不安定になる

④ ドアノブが緩んでガタガタする

⑤ 電気スイッチやコンセントが破損する

 

この制度は借主に不利な場合が多く、物件のメンテナンス責任が不公平に借主に移転されるという問題があります。

 

リペアの費用負担に納得がいかない場合

シンガポールでは人件費が高いため、リペアの有無にかかわらず出張費が発生します。さらに、技術者のスキルが低い、または必要な部品がないために「明日また来ます」となると、再度出張費が加算されます。出張費は一回あたり約100ドル(約15,500円)、そしてパーツ代と修理費用が加わると、総額で400ドルから500ドル(約77,000円)の請求が発生することもあります。

 

マイナーリペア制度では、一定額までを借主が負担し、それを超える費用は貸主が負担します。例えば、200ドルは借主負担、300ドル以上は貸主負担となることが契約書に記されています。

 

なぜ標準設備のメンテナンスを借主が負担しなければならないのか、疑問に思うこともあります。オフィスや店舗の原状回復で多くの修繕箇所が明らかになることが多いため、契約締結時には代理人にマイナーリペア制度の特約削除を依頼することが重要です。イギリスのアグリーメントや他の国際的な賃貸契約では、このような特約は一般的ではないため、しっかりと説明すれば理解してもらえることが期待されます。

 

「マイナーリペア制度」に関連するトラブルを避けるためのポイント

  1. 契約内容の確認:契約を結ぶ前に、マイナーリペア制度の条項を詳しく確認し、どのような修理が借り手の負担となるのか、具体的な費用負担の限界額はいくらかを理解しておくことが重要です。
  2. 特約の交渉:可能であれば、この特約を契約から削除するよう交渉してみてください。削除が難しい場合は、負担限界額を下げる交渉を試みるのも一つの方法です。
  3. 物件の状態確認:契約前に物件の詳細なチェックを行い、既存の問題や修理が必要な箇所を事前に特定し、それらが解決されることを契約条件として求めることが望ましいです。
  4. 定期的なメンテナンス:物件のメンテナンスを定期的に行い、小さな問題が大きなトラブルに発展することを防ぎます。特にエアコンや水道など、頻繁に使用する設備の点検を定期的に行うことが重要です。
  5. 修理業者の選定:契約者自身で修理業者を選べる場合は、信頼できる業者を選び、見積もりを事前に取るなどして、修理費用を抑える工夫をすることが有効です。

 

これらのポイントに注意しておくことで、「マイナーリペア制度」に関連する不必要なトラブルや出費を未然に防ぐことができます。

 

「30 Day Warranty Period」とは? 日本との違いに注意

シンガポールでの賃貸契約における「30 Day Warranty Period」は、賃貸借契約が開始されてから30日間の保証期間を指します。この期間内に、賃借人は建物の不具合を貸主に報告する必要があります。この期間中に報告された不具合については、賃借人に過失がない限り、原則として貸主が修繕費用を負担します。しかし、30日を過ぎてからの報告では、賃借人の過失の有無に関わらず、修繕負担金が賃借人に発生する可能性があります。この制度は、日本の賃貸契約の慣習と異なるため、シンガポールでの賃貸物件を借りる際には特に注意が必要です。

 

 

シンガポールでの賃貸物件選びとビジネス成功のために

シンガポールでの賃貸物件選びとビジネス成功のために

シンガポールでビジネスを展開しようと考えている日本人の方々にとって、適切なオフィスや住宅の賃貸選びは成功の鍵を握ります。

 

市場理解と物件選び

シンガポールはアジアのビジネスハブとして高い地位を保持しており、その不動産市場も国際的な基準に基づいて動いています。まず、ビジネスの種類に合わせたエリア選びが重要です。例えば、金融関連のビジネスならセントラルビジネスディストリクト(CBD)が適していますが、テクノロジー系ならone-north地区が適している場合があります。エリアごとの賃料水準、アクセスの良さ、周辺施設をリサーチしましょう。

 

リーガルチェックと契約

シンガポールでの賃貸契約は日本と異なる部分が多いため、ローカルの法律や契約慣習を理解することが不可欠です。特に、「マイナーリペア制度」など借主の責任範囲を明確にする条項に注意が必要です。契約前には、専門の法律顧問にチェックを依頼し、不明点や不利な条件がないか確認しましょう。

 

ネットワーキングとコミュニティ

シンガポールは多国籍企業が集まる国際都市であるため、ビジネスのチャンスを広げるためには、現地のビジネスコミュニティやネットワーキングイベントへの積極的な参加が推奨されます。日本人コミュニティも活発で、日本人商工会議所などがサポートを提供しています。

 

生活基盤の整備

ビジネスだけでなく、日常生活の快適さも重要です。シンガポールの住宅地選びでは、学校、病院、ショッピング施設の近さも考慮に入れる必要があります。また、日本食材が手に入るスーパーマーケットやレストランの情報も収集しておくと良いでしょう。

 

コスト管理

シンガポールは物価が高い国の一つです。賃貸料だけでなく、日常の運営コストも見積もり、効率的なコスト管理を行うことが成功へのカギです。初期投資を抑えるためには、共用スペースを提供するビジネスセンターやコワーキングスペースの利用も検討する価値があります。

 

シンガポールでのビジネス展開は計画的に進めることが成功の秘訣です。市場のリサーチから物件選び、法的な準備、コミュニティへの参加、生活基盤の整備まで、全てを総合的に取り組むことで、シンガポールという新たな市場での成功が見込まれます。計画と準備をしっかりと行い、現地でのビジネス環境を最大限に活用してください。

 

 

執筆者:萩原 大巳 「目覚めよ!日本」

(1ドル:155.6449円換算)

国際都市シンガポールの所得中央値は85,000ドル(約1,323万円)で、税率は7.5%(約99万円)です。海外で稼いだ収入については無税です。対照的に、我が国の所得中央値は34,000ドル(約441万円)で、社会保障を含みますと5公5民です。国民の潜在的貧困率は6割を超えています。このため、我国は一等国から中進国に衰退しました。

 

政治改革、税制改革、行政改革、社会保障改革、地方創生には待ったなし。国民全員が社会活動に参加し、「All supporting All」を実現する機会です。

 

AIとロボットと共生する未来はすぐそこにあります。その世界は、「ドラえもん」、「のび太」、「しずか」のような人間中心の世界です。

 

世界から選ばれる日本を目指す政策が求められています。伝統文化や自然を愛でる日本人の精神を残しつつ、新しいデジタル社会に適応する社会を構築しましょう。

 

ワークプレイスのデザイン、オフィスや店舗の設計、海外出店から撤退まで、全力でサポートいたします。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。皆様の成功を心から祈念します。

 

萩原大巳

萩原 大巳 (Hiromi Hagiwara)

一般社団法人RCAA協会 理事
【協会会員】株式会社スリーエー・コーポレーション 代表取締役CEO

  • ワークプレイスストラテジスト
  • ファシリティプロジェクトマネージャー

オフィス移転アドバイザーとしての実績は、600社を超える。原状回復・B工事の問題点を日経セミナーで講演をする。日々、オフィス・店舗統廃合の相談を受けている。オフィス移転業界では、「ミスター原状回復」と呼ばれている。