オフィスの原状回復工事とは?
オフィスを退去する際に、多くの企業が直面するのが「原状回復工事」です。これは、物件を契約前の状態に戻すための工事を指し、具体的には床や壁の修繕、内装の補修などが含まれます。一般的に、賃貸借契約書に基づいてテナントが負担する工事内容が決まりますが、テナント側がすべての工事を負担するわけではありません。契約内容をよく確認し、不要な負担を避けることが大切です。
原状回復費を減額するためのポイント
原状回復費を抑えるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 賃貸借契約書の確認
原状回復工事の範囲は契約書に明記されています。例えば、入居時に既にあった設備の修繕はテナントの負担ではない場合が多いです。契約書を細かくチェックすることで、不要な工事を防ぎます。 - 見積もりの査定
ビルオーナー指定の業者が提示する見積もりには、テナントが負担しなくても良い工事が含まれていることがあります。第三者による査定を依頼することで、適正価格かどうか確認することができます。 - 専門家への相談
契約書や見積もりの内容が不明確な場合は、専門家に相談することが推奨されます。専門的な知見を活かし、適正な工事範囲や費用を確認することが可能です。
【実例】和光エージェンシーの原状回復費減額成功事例
東京都渋谷区にオフィスを構えていた株式会社和光エージェンシーの事例では、退去時に提示された原状回復費用が非常に高額であり、最初の見積もりは5,060,000円(税込)に達していました。この見積もりには、タイルカーペットの全面張替えや壁の塗り替えが含まれていましたが、契約書の内容を詳細に確認した結果、これらの工事はテナントの負担ではないことが判明しました。
そこで、専門家のアドバイスを受けた結果、工事範囲が修正され、最終的な合意金額は3,300,000円まで減額されました。これは、34.78%のコスト減額に成功したという実例です。この事例は、見積もり査定や契約書確認の重要性を物語っています。
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オフィス移転時の原状回復費用を減額し、余分なコストを避けるための準備が整うでしょう。
ビル指定業者の見積もりに潜むリスク
退去時にビル指定業者から見積もりを受け取る際、多くのテナントが見積もり内容をそのまま受け入れてしまうケースが見られます。しかし、和光エージェンシーの事例のように、指定業者の見積もりには不要な工事が含まれていることがあります。たとえば、壁や床の全面張替えが必要だと主張されることがありますが、契約書に基づいてこれらの工事が不要な場合も多々あります。
見積もりの内容を慎重に確認し、第三者に査定を依頼することで、無駄な費用を減額できる可能性が高まります。
オフィスの原状回復工事に関する相談先と注意点
原状回復工事を進めるにあたり、専門家のアドバイスを受けることが非常に有効です。特に、契約書の解釈や見積もりの査定について不安がある場合、適切なコンサルタントや不動産の専門家に相談することで、コスト減額と効率的なオフィス移転が実現します。
また、ビルオーナー側の指定業者から提示される見積もりは、必ずしも最適なものではないため、見積もりの内容を細かくチェックし、疑問点があればその都度確認することが重要です。
萩原 大巳 (Hiromi Hagiwara)
一般社団法人RCAA協会 理事
オフィス移転アドバイザーとしての実績は、600社を超える。原状回復・B工事の問題点を日経セミナーで講演をする。日々、オフィス・店舗統廃合の相談を受けている。オフィス移転業界では、「ミスター原状回復」と呼ばれている。 |