アメリカ大統領選挙と世論の分断
アメリカ大統領選挙において、世論は二つに分かれており、その世論調査の結果が毎日世界中で報じられています。
強運の女神、カマラ・デビー・ハリス(Kamala Harris)の名Kamalaは、ヒンズー語で「蓮の花」を意味する名前を持ち、救世主の女神ラクシュミーの化身である蓮を象徴しています。彼女は目立った実績のない副大統領で、民主党の大統領予備選に出馬しても、候補者にすらなれなかった存在でした。しかし、今では潮流が変わり、民主党は結束し、アメリカの多くのメディアが全面的にハリスを支持しています。
一方、ドナルド・トランプは共和党を固め、名門一族ロバート・ケネディ・ジュニアを取り込み、民主党の支持層を崩そうと躍起になっています。キリスト教プロテスタント福音派は「神に選ばれしトランプ」として彼の暗殺未遂事件を報じ、この宗教は全米人口の25%に支持されています。
世界的な潮流とアメリカの現状
世界的な潮流は、移民問題による治安悪化と社会保障費の増加による不公平感から、コンサバティブ(保守的)な方向へと向かっています。アメリカの大統領選挙では、勝者総取りの制度が採用されており、スイングステートと呼ばれる7州を制する候補が勝利します。
現在、アメリカの白人系人口は53%であり、あと7、8年もすれば白人系はマイノリティに転じる見込みです。中南米からの移民が大量に押し寄せる中、白人系アメリカ人の本音は「アメリカは我々の祖国、星条旗よ永遠なれ」というものです。トランプの集会では、彼に魅了された聴衆が掲げる星条旗の多さに圧倒されます。
トランプの政策は、「MAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)」すなわち「再び世界のスーパー覇権国に君臨するアメリカ」を掲げています。彼やJ.D.ヴァンス、ロバート・ケネディ・ジュニアは、経済活動に自ら積極的に取り組んできた実業家であり、移民には明確に「No」を突きつけています。
ハリスとその政策
対照的に、カマラ・ハリスはインド系の母とジャマイカ系黒人の父を持つ有色人種のマイノリティであり、彼女の両親は共産主義を研究してきた教育者です。ハリス自身もマルクス、エンゲルス、スターリン、毛沢東を研究し、キャリアを積み重ねてきた努力家です。彼女のキャリアはカリフォルニア州検事としてのものであり、公務員一筋の人です。
ハリスの副大統領候補であるティム・ウォルズ(ミネソタ州知事)は、州兵として7年間勤務した後、ハイスクールの教師から政界に転身した庶民派の白人政治家です。彼らの政策は、コロナ禍での金融緩和によるインフレ対策に焦点を当て、物価の価格統制を行い、庶民が手に入れやすい住宅価格を目指しています。移民には寛大で、手厚い生活保護と教育を提供し、良きアメリカ市民を育成することを目標としています。
社会主義と資本主義の対立
社会主義と資本主義は、まるで水と油のようなものであり、長期的には社会主義は衰退すると予測されています。ソ連の崩壊が示すように、一時的には市民に恩恵をもたらすかもしれませんが、競争力が失われ、結果として社会全体が衰退していくのです。
グローバルな視点から
アメリカで起こっていることは、他の民主主義成熟国家でも見られる現象です。イギリスやフランスでは、旧植民地からの移民の2世、3世、4世による人口増加が治安悪化や生活保護費の増大を引き起こし、深刻な問題となっています。
日本においても、在日外国人への生活保護支給率は平均的な日本人の4倍に達し、犯罪率も3倍以上に上ります。しかし、一方で孫正義氏のように成功を収めて帰化したビジネスパーソンも多く存在しています。
日本の政治への提言
日本の政治に目を向けると、世襲議員とキャリア公務員が多数を占めています。自民党の総裁選も世襲議員が中心です。世襲議員やキャリア官僚が、ビジネスの最前線で活躍する世界のリーダーたちと渡り合えるかどうかには疑問が残ります。日本の政治においても、命をかけてリスクを取り、権力闘争を生き抜いてきた世界のリーダーたちと同等に戦う力が求められています。
大統領や首相を選ぶ際に、アメリカやイギリス、フランスでは国旗が翻り、聴衆が自然発生的に国歌を歌い出すという光景が見られます。彼らは右派左派を問わず、愛国心を前面に押し出す国民性を持っています。
今こそ日本人も、政治を「お上のものから」とするのではなく、「新しいデジタル化された日本」を自ら創造する時です。
日本の政治の課題と未来への展望
日本の政治は、現状のままでは衰退がさらに加速する危機にあります。
突然の岸田文雄首相の退任により、自民党総裁選には過去最多の候補者が名乗りを上げましたが、その政策や方針はあまり印象に残るものではなく、真剣な政策論争も見られません。このような状況で自民党を内側から変革するためには、リスクを伴う政治改革の決意が必要です。改革の狼煙を上げるべきは、若手政治家たちですが、彼らにその覚悟があるのか、さらには党自体が新陳代謝を果たすことができるのか、懸念が残ります。
野党も、デジタル社会の理想論や批判に終始し、現実的な解決策を提示することができていません。政治やマスコミへの国民の信頼は低下しており、これが日本の現状を象徴しています。
経済の衰退も深刻で、「失われた30年」という言葉を耳にすることも多いですが、日本経済は韓国や台湾に追い越され、世界ランキングで38位にまで転落してしまいました。もはや日本は中進国へと落ち込んでいます。
出典:International Monetary Fund(国際通貨基金)GDP, current prices Billions of U.S. dollars
※2024年4月版IMF世界経済見通し
シンガポールは、一人あたりGDPで日本の2.7倍もの成長を遂げています。GDP成長において最も重要な要素は、生産年齢人口の増加です。実際、GDP成長の約6割は生産年齢人口の増加率で決まると言われています。
政策の骨子
日本が今後進むべき政策の骨子は次の通りです。
- 少子高齢化対策:異次元の少子化対策を実施し、幸歳化実現社会を実現する。(現在の高齢者は必ずしも幸せではありません。だからこそオールサポーティングオールの社会を考えることが大切です)
- 教育改革:思考力を持つ人材を育成する教育システムを構築する。
- 水資源管理:水資源の保護は森林保全から始まる。
- 食糧自給率の向上:国内の食糧自給率を向上させる。
- エネルギー政策:持続可能で安定したエネルギー供給を確立する。
- 国防強化:国の安全を確保するための防衛力を強化する。
- 災害対策:命を守るための効果的な災害対策を講じる。
- 治安維持:安全で安心な社会を実現するための治安維持を徹底する。
これらの政策はすべて経済の基盤に支えられており、この政策論争が選挙の勝敗を左右する重要な要素となります。
デジタルシフトした社会は、ITの活用能力に左右されますが、その基盤となるのは、自立した個人を育てるための教育です。IT活用能力を持った人の人口が多い(人口比率の高い)国が成長していきます。自由の裏側には自立があり、「一隅を照らす、これすなわち国宝なり」「忘己利他(もうこりた)」という伝教大師最澄の金言が、この精神を体現しています。
経済危機と独裁体制の終焉「中国が直面する世界的孤立」
中国経済は、習近平の独裁体制が続く中で大きな混乱に直面しています。恐慌状態にある中国では、集団指導体制への回帰の動きが強まり、世界から孤立する状況が進んでいます。
貧困の国際基準ラインは購買力平価(PPP)に基づき、1日1.9ドル(約285円)、月額では約8,550円とされています。中国の内陸部における農林水産業従事者や日雇い労働者は、全人口の6割を占めており、その中で7億人がこの貧困ライン以下の生活を送っています。
さらに、1人っ子政策の影響で、急速に少子高齢化が進行しており、大卒や大学院卒の就職内定率は50%を下回っています。不動産バブルの崩壊や外国資本の撤退が進む中、中国はますます世界から孤立しつつあります。GDPや失業率といった経済データも捏造されているため、その信頼性は低いと言わざるを得ません。
かつて中国を大市場と見なし、資金や技術を提供し続けた先進国が、今の中国を育てたとも言えます。その結果として、ある意味で「スーパーモンスター」とも言える習近平体制が生まれたのかもしれません。
最近では、毛沢東思想への回帰から、習近平に対する批判が激化しており、集団指導体制への動きが活発化しています。アメリカやイギリスのSNSでは「北載河政変」という言葉が飛び交い、顔を出して自身の経歴を明かしながら習近平を批判する動きが目立っています。
海外では、BRICS諸国や生活必需品の価格競争において、国営大企業への補助金政策が厳しく批判されています。特に、中国が補助金を受けて生産した製品、例えば鉄鋼製品などは、BRICS諸国内で競合する他国製品に対して圧倒的に有利な立場にあります。このような不公平な競争環境が他のBRICS諸国から反発を招いています。さらに、グローバルサウスの代表であるインドは、中国のプラットフォーム企業を排除し、中国製品はインド市場であまり売れていません。
また、中東、EU、北米、オーストラリア、ニュージーランド、北欧といった地域での世論調査によると、最も嫌われている国のトップ3は中国、ロシア、イスラエルとなっています。世界の工場である中国が世界から嫌われることは、市場を失うことを意味します。
EU、アメリカ、カナダ、英国連邦はすべて中国製品に対して高関税をかけています。また、これらの国々の世論調査は、中国に対して厳しい政策を支持しており、OECD参加国はアメリカを中心に軍事転用可能な製品の輸出を禁止し、最先端の半導体も中国への輸出は不可能となっています。日本でも、新日鐵、ホンダ、ニッサン、パナソニックなど、多くの日系グローバル企業が共同プロジェクトを中止し、損切りを覚悟で撤退しています。
中国の強みは、8000万人に及ぶ華僑華人のネットワークとその資金力にあります。東南アジア経済の中核を担っているのも華僑華人であり、この成長を取り込む国や企業が今後成長を遂げていくでしょう。イギリスもこの成長を取り込むため、ユニオンジャック政策に舵を切り、シンガポールをハブに南はシドニー、北はベンガロール、ドバイ、ロンドンといった地域を結ぶ経済圏を形成しています。また、TPPへの参加要請や、AUKUS(日米英豪)などの軍事同盟を通じて、中国包囲網の構築を目指しています。
習近平に対する経済・軍事面での対抗姿勢が強まる中、日本も対米隷属や媚中政策から脱却し、賢明な外交と経済政策を展開しているイギリスや、グローバルサウスの代表であるインドを見習うべき時が来ていると言えるでしょう。
日本経済の将来展望と不動産市場の大胆予測
現在、日本の株式市場の約72%は外国資本によって取引されています。また、株式の33%は外資が保有しており、その中でも中国系ファンドが特に医療や高品質な食品メーカーへの投資に熱心です。不動産市場においても、中華系ファンドがグレードの高い物件や立地条件の良い不動産を積極的に購入しています。さらに、水資源を保有する森林や農地も彼らのターゲットとなっています。
オリンピック村のマンションについても、日本の中小不動産会社が全体の4割をキャッシュで購入していますが、その資金の多くが中国系ファンドから流れたものであることは注目すべきです。HSBC、シンガポール銀行、チャータードバンクなど、これら全てが華僑華人の資金によって動いており、中国本土の富裕層から華僑華人を通じて日本の不動産市場へと資金が流れ込んでいます。
日本の自然資源と文化財への影響
日本の水資源は森から始まる自然のダムです。この貴重な水資源を保護する森林、農地、山林、さらには神社仏閣やホテル、旅館といった施設までもが次々と購入されています。また、日本のオリジナリティの高い技術やサービスを持つ企業も、中国資本の手に渡りつつあります。既に静岡県や神奈川県に匹敵する広さの土地が外国資本によって購入され、その目的については容易に想像がつくところでしょう。
中国が日本の不動産市場に及ぼす直接的な影響は甚大であり、全産業にわたる中国経済の影響が、日本経済を不安定化させるリスクを無視することはできません。
世界経済と不動産市場の動向
世界のGDP総額は約105兆ドルに達しており、その10倍もの資本が投資機会を求めています。しかし、グローバル金融資本主義が世界経済を不安定化させ、不動産賃貸料はすでに世界の主要国際都市で下落傾向にあります。東京の土地や建物も、価格は既にピークに達していると見られており、国際的なファンドは地方への投資にシフトし始めています。
ウォール街、シティ、シンガポール、ドバイといった国際金融都市の支配層の動きを注視する必要があります。既に米英の政治やマスコミは、グローバル金融資本によって多大な影響を受けており、買収されつつあります。特に、株式保有による間接支配が進んでおり、今のアメリカではグローバルユダヤ系資本の影響が顕著です。
2024年と今後の日本経済
2024年は、世界の動きが明らかになる年になるでしょう。日本は、地方の自然、伝統文化、そして老若男女が社会を支える時代に移行しつつあります。日本のアニメや昭和のJポップは世界中で人気を博し、インバウンド観光客は月間300万人を超え、10年後には年間1億人を突破することが予測されています。
日本の不動産市場、中小企業、そして地方にこそビジネスチャンスが広がっています。日本独自の文化やサービスが、多くの外国人に魅力を感じさせています。例えば、レストランで無料の水が提供される国は日本だけであり、神社仏閣への参拝も無料でできる国は他にありません。また、日本の伝統的な農業にも外国人が関心を持ち始めており、私の知り合いのわさび田では、農業の担い手の2割が米英やヨーロッパ、北欧の若者たちです。
夏祭りで浴衣を着て盆踊りを楽しむ外国人と地域の老若男女が、笑顔で共に過ごす光景は、これからの日本の未来を象徴しているように感じます。
世界の国際都市におけるオフィス環境は激変しており、人々が集まりたくなる、働きたくなるようなワークプレイスへと変わりつつあります。日本も、こうした変化に対応しつつ、自国の強みを活かした経済成長と文化の発信を進めていく必要があります。
働き方改革とワークスタイルの変革
日本の働き方改革は、「時間外労働の上限規制」を目的として、関連する8つの法案が法制化されました。これに伴い、「一人ひとりが目的や状況に応じて能動的にワークスタイルを選択できる働き方」を目指した調査が行われ、その結果、興味深い傾向が明らかになりました。
完全テレワークのスタイルは大幅に減少し、働く場としての「オフィス」が、コミュニティ型ワークプレイスへと定義し直され、ワークスタイルレボリューションが推進されています。これは、ライフスタイルの変化に伴い、ワークスタイルや価値観が大きく変わったことを示しています。
この動きは、先進国の国際都市において、ハイブリッドワークが主流になったことを反映しています。アメリカ西海岸やニューヨークを中心とする東海岸では、60%以上の企業がハイブリッドワークを採用しています。同様に、ロンドン、パリ、ベルリンでもハイブリッドワークが潮流となり、生産性の向上が確認されています。
アジアにおいても、ドバイ、ベンガロール、シンガポール、シドニー、そして東京でも、ハイブリッドワークへのシフトが進んでいます。過半数の企業が、働き方の選択肢としてハイブリッドワークを導入しています。
特にZ世代においては、7割が働き方の選択肢がない会社では働かないとする調査結果が示されています。ミレニアム世代でも6割がハイブリッドワークを支持しており、これが新たな働き方のスタンダードとなりつつあります。
日本の企業とオフィスの進化
東京でも、ソフトバンクの竹芝本社ビルは「Smart & Fun」を掲げ、対面コミュニケーションの価値とITテクノロジーをフル活用したコミュニティ型ワークプレイスのショールームとして機能しています。これは、人々が「行きたくなる、集いたくなる」ワークプレイスを模索していることの表れです。
日本国内でも、不動産賃貸市場には大きな変化が見られます。サービスオフィス、コワーキングスペース、レンタルオフィス、セットアップオフィスなど、目的や用途に応じてオフィスの形態が多様化しており、それぞれが新しい働き方を支える拠点となっています。
福岡市の地域経済と不動産市場の躍進
福岡市では、賃料の上昇率と空室率において顕著な成果が見られます。コロナ禍以前と比較して賃料は20%アップし、空室率は5.7%から1.9%へと大幅に改善し、ほぼ満室の経営状態となっています。この成功は、アジアの成長を取り込む戦略の一環として捉えられます。
さらに、AmazonやGoogleといったグローバルなビッグテック企業が福岡への移転を発表し、注目を集めています。福岡市は、空港が市内にあり、高速道路や地下鉄といった交通の利便性も高く、企業にとって非常に魅力的な都市です。市長をはじめとする地域行政は、規制を緩和し、外資系企業の誘致に積極的に取り組んでいます。その結果、九州全土から若者が福岡に集まり、街はますます活気づいています。
福岡市は、歴史に裏打ちされた伝統文化が彩りを添える人気の政令都市として知られ、人口増加とともに市民の平均年齢も日本の政令都市の中で最も若い都市となっています。また、インバウンド観光でも福岡は人気の高い都市であり、食、歴史、文化、自然がすべて融合した国際都市に変貌した成功例です。
萩原 大巳 (Hiromi Hagiwara)
一般社団法人RCAA協会 理事
オフィス移転アドバイザーとしての実績は、600社を超える。原状回復・B工事の問題点を日経セミナーで講演をする。日々、オフィス・店舗統廃合の相談を受けている。オフィス移転業界では、「ミスター原状回復」と呼ばれている。 |