森一族100年の夢の象徴「麻布台ヒルズ」

2024.11.18

森一族100年の夢の象徴「麻布台ヒルズ」

東京を平面活用から空間活用により自然と人間と万物が共生する国際都市を再開発する‼︎!

はじめに

創業者の森泰吉郎は裕福な家庭に生まれ、学問に秀でた児童でした。彼の家は港区で米屋と貸家を多数保有する地主階級で、港区の名士でした。

彼の試練は1923年の関東大震災で始まります。森家の所有物件が倒壊し、焼け跡整理地にする家業から始まりました。彼は災害に強いコンクリート造りと密集しない緑地を設けることを強く進言しました。

次の試練は、さらに甚大な被害をもたらした焼夷弾による空襲と大東亜戦争(第二次世界大戦)の敗戦です。1946年(昭和21年)、新円切り替えに伴う預金封鎖をいち早く察知し、預金を全額引き出して輸出の花形業界である繊維関連、特にレーヨンに投資しました。これが朝鮮戦争に伴う好景気により大高騰し、売却益を元に森ビル不動産・森トラストホールディングスを設立しました。

 

経営手法と成長

貸ビル業における最新の経営手法、ロスチャイルドメソッドを実行しています。ホールディングスは株主に監視されることもなく、莫大な資金を借り入れ、成長著しい日本経済のオフィスを供給するニューデベロッパーです。立地は生まれて育った港区に集中投資する戦略です。

 

都市再開発の代名詞「森ビル」の誕生

赤坂ツインタワー、虎ノ門琴平タワー、愛宕グリーンヒルズ、MORIタワー、アークヒルズ、六本木ヒルズ、虎ノ門ヒルズ森タワーなど、すべてが話題沸騰の模範とされる都市再開発でした。

森グループの再開発の特徴は、長い年月を費やし、多数の地権者を説得して、平面活用から空間活用に移行することです。自然と万物が共生できる環境を提供するデベロッパーに徹しており、どの再開発物件も360度のパノラマビューを提供します。富士山、東京タワー、レインボーブリッジが見える絶景であり、スーパー耐震構造と地震時に安全な避難エリアを設けているスペックの高い再開発を強みとしています。

 

森グループの現在

森グループ関連会社は4人の子供に引き継がれ、現在は泰吉郎の孫が社長を務めています。1991年にはフォーブス誌が世界長者番付第一位として森泰吉郎の総資産2兆7千億円を発表しました(これは森グループの資産が含まれていたとされます)。

 

麻布台ヒルズ

麻布台ヒルズは森一族100年の夢の象徴です。コンセプトは「Modern Urban Village」で、緑に包まれ、人と人が繋がる広場のような街を実現しています。

 

面積 坪数
区域面積 約81,000㎡ 約25,000坪
延床面積 約861,700m² 約260,000坪
オフィス面積 約214,500m² 約65,000坪
店舗面積 約23,000m² 約7,000坪
緑地面積 約24,000㎡ 約7,300坪
就業者数 約20,000人
居住者数 約3,500人
年間来場者数 約3,000万人
総投資額 約6,400億円

 

麻布台ヒルズ周辺マップ

麻布台ヒルズ立面図

出典:「麻布台ヒルズ公式サイト」https://www.azabudai-hills.com/about/index.html

 

麻布台ヒルズには、日本一の高さを誇る「森JPタワー」(高さ約330m)をはじめ、150を超える知名度の高いテナントが入るガーデンプラザ、麻布台ヒルズレジデンス、そしてブリティッシュ・スクール・イン・東京が含まれています。また、神谷町駅と六本木一丁目駅からは地下通路で直結しており、アクセスも非常に便利です。

このプロジェクトでは、320種類の緑を植え、果樹園で11種類の果物を育てるなど、自然を最大限に活かした開発が行われています。また、デジタルアートミュージアム「チームラボボーダレス」も設置され、芸術にも力を入れています。

 

歴史と背景

麻布台ヒルズの最寄り駅である神谷町駅の「神谷」という名前は、神が鎮座する谷に由来します。古くは西久保(窪地)飯倉地区と呼ばれ、江戸時代には外苑東通りや桜田通りが西久保八幡宮の参道前を通る交通の要衝でした。この地域は窪地で坂が多く、運河を利用して物資を運ぶ風光明媚な聖地でもありました。

 

麻布台ヒルズプロジェクトの進行

1989年に麻布台ヒルズプロジェクトが始まり、300を超える地権者の承諾を得るまでに30年の年月を要しました。2019年に工事が開始され、2024年11月現在でも麻布台ヒルズレジデンスの引渡しが遅れています。三井住友建設が莫大な損害金を負担して工事中です。清水建設も想定外のコロナ禍で技能工が集まらず、建築資材は高騰し、800億円の利益が下振れし、戦後初の赤字決算となりました。

 

 

コロナ禍の影響

森グループも想定外のコロナ禍で店舗リーシングに苦労しています。150店舗の空室率は概ね3割と推察されます。オフィスエリアは何とか埋まりつつあるようです。現在の空室率は2割です。レジデンスの空室率は未公開です。しかし、JPタワーの分譲超豪華億ションは史上初めて200億円を超え、車で住居まで行けて、プールや大空間のデジタルサウンドルーム、プールサイドからのパノラマビューは息を呑む美しさと言われています。所有者の一人はメルカリ創業者の前澤友作さんです。追加工事で内装費に8億円を投じ、カスタマイズした自宅をYouTubeで公開して話題になりました。

 

森グループ最大の試練とは?

森グループ最大の試練は、人間の価値観の変化でした。コロナ感染症は瞬く間に世界に伝播し、ロックダウンで経済は一時的に停止しました。世界は自国民を救うべくお札を刷り続け、国民も企業も延命させました。結果的に米英EUは、GDP対比で第二次世界大戦の二倍の負債を負いました。コロナ禍ではすべてのアセットが高騰し、建築資材もエネルギーも異常な高騰を見せました。しかし、今はエブリシングバブルが7割方弾け、EV自動車、再エネ、仮想通貨、高級時計、ウイスキー、食料品、金融派生商品、不動産、有価証券すべてが適正価格に落ち着きつつあります。

 

コロナ禍を経験した人類の変化

2024年11月現在、mRNAワクチンを奨励している国は皆無です。一時的に感染拡大を抑える効果はあったものの、ワクチンを接種した我国の国民の薬害による不自然な死亡はワクチン接種後20万人弱毎年発生しています。しかし、コロナ感染で死亡率の世界一低い国は日本でした。これはルールを守り、清潔な道徳国家日本人の大きな美徳の結果です。

コロナ禍を経験した人類はライフワークスタイルを変え、ワークスタイルを変え、価値観まで変えました。ハイブリッドワークが働き方のスタンダードになり、若いビジネスパーソンや子育て世代は高くて狭い都心のマンションら続々と引っ越しています。それでも東京は知的ワーカーや留学生の増加により、120万人が安全安心でライフインフラの整備された東京に住んでいます。東京一極集中は現在、外国人ビジネスパースンや留学生による移住人口の増加による現象が顕になりました。

 

不動産市場の変化

不動産取引機構の統計によると、東京のマンション市場はコロナ前の9万件から6.5万件まで縮小しています。ニュータウンと呼ばれた団塊の世代の夢のマイホームも衰退の一途をたどっています。しかし、川崎市、藤沢市、厚木市、小田原市などの「恒星都市(*)」は、通勤に便利で風光明媚な自然が残る自ら輝く地方都市として脚光を浴びています。

(*恒星都市とは、通勤の利便性や自然環境といった独自の魅力を持ち、東京圏に依存せずに自らの価値を発揮している地方都市)

 

日本一の成長都市「福岡市」

日本一の成長都市はアジアの地の利を有する福岡市です。GoogleやAmazonなどのグローバルビッグテック企業が相次いでアジアのベッドオフィスを福岡市に新設すると発表しています。九州全域からビジネスパーソンが集まり、産学官民連携により日本一の成長都市に変貌しました。台湾や上海も福岡から東京に来るより近く、アジアのビジネスハブになりつつあります。

 

若者の価値観の変化

若者の価値観は、分相応の生活や生まれ育った土地や自然に対する郷愁の念にシフトしています。人生で一番大事なものは家族や故郷、誇れる伝統文化、地域コミュニティの素晴らしさです。これにより、超高級ブランド品や「3A」と言われる地域(麻布、青山、赤坂)への興味が薄れました。

価値観の変化が、東京都心の一等地の高級商業施設がどこも苦戦している根本的な原因です。流行を追わず、浮利を追わず、分相応な昔ながらの地域に根ざした生活が求められています。

 

世界の都市と移民問題

世界の都市も移民問題に揺れ、世論は分断され、暴力デモが頻発しています。政治は保守に向かいつつあります。我国においてもSNSで政策提言する保守系中道の個人や政党が注目を集めています。結果として、20代30代の支持するNo.1政党は540万票を集めた国民民主党です。「手取りを増やす」政策は学生をはじめ若い世代に圧倒的に支持されています。次は社会保険負担にメスを入れる政策提言が期待されています。

 

既存の大手マスメディアと政治家への不信

既存の大手マスメディアは信用されず、保身とパワーゲームの政治家も信用されていません。最大の強敵は増税路線を突き進む財務省、厚生労働省、文科省、警察、検察、官庁および第三セクターです。SNSはデータを公開し、スケールしています。

SNSで本当の情報を知り、「思いが変わり、価値観が変わり、行動が変わり、結果が変わる」時代です。行き過ぎた合理主義や個人主義から、真の人間中心主義に変わりつつあります。

 

本コラムの最後に、都心の超一等地再生の著者が思う「うつ手」を紹介しています。解のない商業施設再生のヒントになれば幸いです。

 

 

麻布台ヒルズ「自然と都市が調和する新しい暮らし」

 

麻布台ヒルズ

 

麻布台ヒルズは「Modern Urban Village」をコンセプトに掲げた、東京都港区で展開される大規模都市再開発プロジェクトです。森ビル株式会社が手掛け、このプロジェクトは都市に新たな価値を提供しています。このプロジェクトは、国際都市東京に新たな豊かさをもたらすことを目的とし、オフィス、住宅、ホテル、商業施設、インターナショナルスクール、文化施設など、多様な都市機能を融合させた「都市の中の都市(コンパクトシティ)」の実現を目指しています。

 

麻布台ヒルズのコンセプトとビジョン

麻布台ヒルズの開発コンセプト「Modern Urban Village」は、「緑に包まれ、人と人とが繋がる『広場』のような街」を目指し、自然との共生と地域コミュニティの活性化を重視しています。約6,000平方メートルの中央広場が街の中心に位置し、その周囲には豊かな緑地が広がっています。この設計は、自然と調和しながら人々が集まり交流できる環境を生み出し、新たなコミュニティを形成することを目的としています。

 

麻布台ヒルズでは、訪れる人々や住民が心地よく過ごせる空間を提供するため、多くの広場や公園などの共有スペースが設けられています。また、持続可能な都市環境の実現を目指し、都市における新しい価値を具現化しています。このプロジェクトは、地域住民だけでなく、国内外から訪れる多くの人々にとっても魅力的な場所となり、国際的な交流やビジネスチャンスの創出が期待されています。

 

多様な機能を持つ複合施設

麻布台ヒルズは、オフィス、住宅、ホテル、商業施設、インターナショナルスクール、文化施設といった多様な都市機能を集約しています。

 

オフィスとビジネス機能

麻布台ヒルズには総貸室面積約214,500平方メートルのオフィスがあり、就業者数は約20,000人を想定しています。主要なオフィスビルである「森JPタワー」は、高さ約330メートルの超高層ビルで、7階から52階がオフィスフロアとなっています。オフィスエリアは最新の設備と快適な作業環境を提供し、多様な業種の企業が活動する場として機能しています。

 

住居とライフスタイルの多様性

住宅部分では約1,400戸が提供され、居住者数は約3,500人を見込んでいます。これらの住宅は、多様なライフスタイルに対応できるよう設計されており、高品質な住環境を提供しています。緑に囲まれた住まいは、都市生活の利便性と自然の豊かさを兼ね備えています。

 

ホテルと商業施設

ホテル施設としては、世界的なラグジュアリーブランド「アマン」の新ブランド「ジャヌ東京」が開業しており、スパ、フィットネスセンター、プライベートダイニング体験など、宿泊客に高級で特別な滞在体験を提供します。また、商業施設にはファッション、フード、ビューティー、カルチャー、アート、ウェルネスなど、多彩なジャンルの店舗が揃っています。特に、約4,000平方メートルの大規模なフードマーケット「麻布台ヒルズ マーケット」では、厳選された食材と東京の豊かな食文化を楽しむことができます。

 

教育と文化の拠点

麻布台ヒルズには、都心最大級の生徒数を誇るインターナショナルスクール「ブリティッシュ・スクール・イン 東京」が開校しており、約740人の生徒が通学しています。国際的な教育環境を提供し、未来を担う子どもたちを育成する場として機能しています。また、文化施設として「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」が移転オープンし、最新のデジタルアートを体験することができます。「麻布台ヒルズ ギャラリー」では、多様なジャンルの文化を発信する場として多くの来場者を迎えています。

 

持続可能性と環境への配慮

麻布台ヒルズは、環境への配慮と持続可能性を重視した都市開発プロジェクトです。街全体で「RE100」に対応する再生可能エネルギー電力を100%提供し、脱炭素や資源循環を推進しています。また、国際的な環境認証プログラム「LEED」の2つのカテゴリにおいて最高ランクのプラチナ認証の取得を予定しています。これらの取り組みにより、持続可能な都市環境の実現を目指しており、環境負荷を抑えた都市生活を提供しています。

 

アクセスと交通の利便性

麻布台ヒルズは、東京メトロ日比谷線「神谷町」駅、東京メトロ南北線「六本木一丁目」駅、都営地下鉄大江戸線「赤羽橋」駅から徒歩圏内に位置しており、アクセスの良さが特徴です。周辺の道路や歩行者ネットワークの整備により、エリア全体の回遊性が大幅に向上しており、訪れる人々にとって快適な交通環境が整えられています。

 

麻布台ヒルズ

 

今後の展望

麻布台ヒルズは、都市の持続可能性、地域コミュニティの形成、多様な文化が共存する社会の実現に向けた重要なプロジェクトです。例えば、街全体で再生可能エネルギー電力を100%使用することで、年間で約50,000トンの二酸化炭素排出削減が見込まれています。今後も、人々と共に街を育み、東京の磁力向上に資する都市づくりを進めていくことが期待されています。麻布台ヒルズは、都市と自然、人々のつながりを強化するために設計されており、誰もが集い、自由に過ごし、生活の質を高めることができる新しい都市生活のあり方を提案しています。持続可能な都市開発の成功例として、今後の都市開発プロジェクトのモデルケースとなることが期待されています。

 

おわりに

世界経済の変貌と赤いカーテンによる分断の世界

インバウンド観光は急増しており、渋谷、原宿、表参道、青山通り、外苑、銀座などの人気エリアは、どこも外国人観光客で賑わいを見せています。これらのエリアは高級商業施設が集まり、待ち合わせ場所としてだけでなく、外国人観光客にとってインスタ映えするおしゃれなスポットとしても注目されています。

 

デジタルシフトが加速する時代、コロナ禍によって膨らんだ「エブリシングバブル」は弾けました。その結果、世界の実物経済の総額を10倍以上も上回る投資資金が、新たなビッグマネーの投資先を求める動きが顕著になっています。そして、その次のターゲットは人工知能(AI)です。

 

NVIDIAは、世界トップの株価総資産を誇り、純利益の30倍を超える時価総額を達成しています。その額は約3.5兆ドル(約525兆円)にも達します。また、半導体設計で知られるArmや、最新半導体製造で世界をリードするTSMCなど、最先端テクノロジー業界は日進月歩で進化しています。この業界では、画期的なテクノロジーが生まれると、既存の技術は一瞬で過去のものとなるほど、競争が激しいのが特徴です。

 

しかし、投資マネーは状況が変われば一夜にして引き上げられることがあります。リーマンショックによる金融危機はその一例であり、日本の経済アナリストですら予測できなかった出来事でした。こうした投資マネーの動きは、経済を不安定化させるリスクもはらんでいます。

 

OECD加盟38カ国の中で、製造業において部品間の調整を徹底し、高品質を追求する国民性や企業風土が残っている国は、日本とドイツを除いてほとんど存在しません。アメリカのNASAや軍事産業でさえ、日本のキーパーツなしでは成り立たない状況です。

 

現在、Five Eyes(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの情報共有同盟)、EUと中国との間で、新たな分断が進んでいます。この状況は、かつての「赤いカーテン」を彷彿とさせるものです。民主主義国家は、中国がコロナ禍初期に情報を約2カ月間隠蔽していたことから、中国への信頼を完全に失っています。トランプ元大統領も、コロナウイルスは中国が開発した「人口減少兵器」であると批判しました。

 

Five Eyes諸国の足並みは概ね揃っており、新たなブロック経済の時代が始まろうとしています。

 

法治国家の立法の誤りは、あまりにも甚大で取り返し不可能

1900年当時、英国連邦は世界の土地の4割を支配し、世界の資産の55%が英国に集まっていました。しかし、「赤旗法」という一つの法律が英国の衰退を招くことになりました。

 

当時、都市内交通は主に馬車によって支えられており、馬に関わる就業者は20万人を超えていました。馬を育てる人、馬を操る人、馬車を先導する警察官が多く存在していました。この「赤旗法」は労働者保護を目的とした社会主義的な政策であり、石炭からオイルへ、蒸気からエンジンへという技術革新の波に適応できない結果を招きました。この法律によって、20万人の雇用を守る一方で、英国はアメリカ、ドイツ、フランスの後塵を拝することになったのです。

 

当時、英国には5万頭の馬が存在し、1頭が1日に20kgの排泄物を出すため、都市では毎日1,000トンもの排泄物が発生していました。このため、町は不衛生な状態となり、貧民街は常に疾病の温床となっていました。一方、アメリカはオイルとエンジンを採用し、車社会への移行を迅速に進めることで、その後のスーパーパワーとしての地位を築くきっかけを作りました。

 

「赤旗法」の弊害に気づいたチャールズ・ロールズとヘンリー・ロイスは、ロールスロイス社を創業しました。しかし、英国が再び世界の覇権国となることはありませんでした。

 

現在、世界の覇権国であるアメリカは、無人自動運転技術の開発で先頭を走っています。アメリカでは30州でレベル4の自動運転車の実験が進められており、中国でも16都市で同様の実験が行われています。一方で、日本ではわずか2拠点でレベル3の自動運転技術が試験運用されている状況です。これらの技術には、最先端の半導体技術と人工知能が不可欠です。

 

トヨタ、ホンダ、SONY、ソフトバンクなどの日本企業もアメリカにラボを設け、技術開発を進めています。陸、海、空のロジスティクスの未来には、無人自動運転や自動運転ドローンが欠かせません。

 

このような状況を踏まえ、時代に選ばれた日本の政治リーダーの登場が強く望まれます。

 

日本経済の財務状況と少子高齢化の現状

日本の財務状況を見てみると、総資産は約9,800兆円に達しており、カナダに次ぐ優良なバランスシートを誇っています。また、日本は世界一の債権国としての地位を維持しています。国家予算は110兆円、特別会計は440兆円規模となっており、第三セクターまで含めた正確な合計額についてのデータは公表されていません。しかし、これを見直すタイミングが来ているのではないでしょうか。

 

男女共同参画費は9.3兆円、少子化対策費は5.2兆円にのぼりますが、これらの費用対効果についての発表はありません。一方で、日本の少子化は深刻な状況です。1975年には1歳から4歳の児童が1,030万人いましたが、2023年には400万人に減少しました。出生率は1.3人、出生数は70万人を下回るという現実があり、児童の数は半世紀で6割以上減少しています。

 

このような少子化の中で、日本のソーシャルワーカーは慢性的な人手不足に直面しています。AIやデジタル技術を活用し、従来5人で行っていた業務を4人で行えるようにすれば、生産性は20%向上すると期待されています。職種を選ばなければ社会に貢献できる仕事は数多くあり、日本全体で「All supporting All」(すべての人がすべてを支える)という新しい仕組みを作ることが求められています。

 

また、高齢者が働いても年金が減らないような政策も必要です。高齢者が働く意欲を持ち続けるには、103万円の控除の壁のような制約を見直し、意識改革とリカレント教育が不可欠です。

 

21世紀の未来において、勝ち負けや善悪の二元論を超えた、安全・安心・共生を重視する道徳国家が世界のリーダーになるでしょう。日本は敗戦後、GHQの影響を受け、アメリカの社会主義的政策を採り入れました。法治国家の六法を見直し、例えば労働法、新卒一括採用、年功序列といった制度に基づき、一億総中流という社会主義的資本主義国家を築き、世界の富の18%を集める国となりました。

 

しかし、ベルリンの壁崩壊やソ連の崩壊を経て、世界の経済環境は激変しました。アメリカはミルトン・フリードマン博士の経済理論を教義とし、規制緩和やグローバリズム、減税、個人主義へと舵を切りました。その結果、株主が世界の富の8割を支配する「秩序も倫理もないお金がすべての世界」に変貌しました。ローマ人が『平和と秩序の女神「パスク」がいない世界』と呼んだ時代が再び訪れたともいえます。

 

さらに、宗教対立も依然として続いています。ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の対立は終わりが見えません。一方、日本では信教の自由が確立しており、キリスト教の布教活動が行われても信者数は1%未満という稀有な国です。日本人は自然を敬い、朝日を拝み、除夜の鐘を聴き、初詣に訪れるなど、生活に宗教儀式を取り入れています。

 

このような美徳を自然に備えた日本は、安心・安全で犯罪が少ない道徳国家です。この希少な価値観が、世界中の心ある人々を引きつけ、観光地としての魅力を高めています。そして、日本を訪れた人々が「また行きたい」と思う理由にもなっています。

 

まとめ

一等地が持つ魅力を最大限に引き出すためには、その地域や立地の特徴を外から俯瞰し、独自の価値を見つけ出すことが重要です。例えば、銀座と渋谷では全く異なる特徴があり、それぞれの地域が持つ伝統文化や地域特性をしっかりと理解することが鍵となります。

 

地域の老若男女が参加するイベントは何があるでしょうか?例えば、氏神を祀るお神輿や山車の存在が地域の活気を象徴している場合もあります。また、その地域独自の名物や、そこに行かなければ買えないもの、体験できないことは何でしょうか。そうした唯一無二の要素は、その土地の魅力をさらに引き立てる要素となります。

 

商業施設の一部を地域に開放することで、どのような変化が起こるでしょうか。例えば、地域の政治・行政、民間企業、教育機関、住民が協力して新しいプロジェクトに取り組むことで、さらなる可能性が広がります。その際の中心的な役割を担うのは、地域への熱い思いを持つデベロッパーの経営者や社員です。彼らの情熱と行動力が、人と人とのつながりを生み出し、地域全体の共生を実現するコミュニティへと発展していきます。これこそが「踊るアホーに観るアホー、踊らにゃソンソン」の精神に通じるものです。

 

例えば、麻布台ヒルズの一部にイオンやユニクロが入ることで、多様性を象徴する空間が生まれるかもしれません。この「ごちゃごちゃ感」こそが、多様性の魅力を引き立てるのです。

 

また、大都会の中のオアシスである西久保八幡宮は、日本特有の神道の結界を感じさせる特別な場所です。この八幡宮を舞台に、能や舞、神楽などのイベントを、森ビルと協賛して開催することも一案です。神職や巫女、参拝者が一体となることで、地域の新しい価値を創出するイベントとなるでしょう。

 

西久保八幡宮

 

さらに、日本のアニメ文化は自然崇拝である「アニミズム」に根ざしています。例えば、須賀神社で生まれた『君の名は』や、神田明神での『薬屋のひとりごと』、田無五頭龍神社での『スラムダンク』のインスピレーションのように、神話や神社にまつわる逸話が新しい作品の源になる可能性があります。八幡宮に伝わる神様の面白い逸話をアニメ化し、それを麻布台ヒルズ体験記として発信するのも、魅力的なプロジェクトになるでしょう。

 

これらの取り組みが、商業施設で働くテナントスタッフ、店主、デベロッパーの社員にとって、再生や成長のヒントとなることを願っています。

 

 

 

萩原大巳

萩原 大巳 (Hiromi Hagiwara)

一般社団法人RCAA協会 理事
【協会会員】株式会社スリーエー・コーポレーション 代表取締役CEO

  • ワークプレイスストラテジスト
  • ファシリティプロジェクトマネージャー

オフィス移転アドバイザーとしての実績は、600社を超える。原状回復・B工事の問題点を日経セミナーで講演をする。日々、オフィス・店舗統廃合の相談を受けている。オフィス移転業界では、「ミスター原状回復」と呼ばれている。