はじめに
アメリカ外交に多大な影響を与え続けたヘンリー・キッシンジャーは、時代の激動期に常識を超えた強いカリスマ政治家が時代に選ばれて出現し、世界を変え新しい時代を創る。まさにトランプ大統領を評した言葉である。
フランスの人口統計学者、人類学者で歴史研究者のエマニュエル・ドットは、著書『西洋の敗北』で、アメリカ頼みで自立を失った欧州、国家崩壊の先頭を走る英国、フェミニズムが好戦主義を生んだ北欧、学歴だけのエリートが情報と軍事を操り、ドルを刷りまくるアメリカ、アジアの西洋日本は日米同盟のためにLGBTQ法を制定し、自ら対米隷属の道を選んだと述べている。グローバリズム、リベラリズムの資本主義は限界に達し、西洋は敗北すると書いている。
フランスの学者、政治家はドゴール大統領の時代から米英には批判的な理論を展開する傾向にある。
私はエマニュエル・ドット博士のように悲観的に世界情勢を見ていない。トランプ大統領施政方針演説を萩原大巳目線で世論動向と関税について所見を書いたコラムである。最後まで読んでいただければ嬉しい。
アメリカの累計債務は人類史上最大の37兆ドル(1ドル/150円:5,550兆円)である。
アメリカの2024年支出の累計は6.75兆ドル(1,013兆円)で、稼いだお金は4.8兆ドル(720兆円)である。赤字はなんと293兆円で、国債を発行してドルを刷りまくった結果、債務累計が5,550兆円に達した。会社なら確実に破産している。
負債サイクルはクレジットシステム→購買力→負債のサイクルとなる。宵越しの金は持たないどころか、毎年稼ぎより3割多く使い過ぎた結果が5,550兆円の負債累計である。これに金利が4.5%オンされると即破産である。病めるアメリカの財務状況である。
アメリカ~巨額投資ラッシュ~
グローバルビッグテック、グローバルカンパニーの巨額投資が相次ぐ。
- AppleはテキサスにAIサイバー投資として5,000億ドルを投資し、2万人の雇用を創出する。
- TSMCはアリゾナに追加投資1,000億ドルを行い、4万人の雇用を創出する。
- ソフトバンク、オープンAI、オラクル、MGSは「Stargate Project」に5,000億ドルを投資し、10万人の雇用を創出する。
トヨタ、ホンダ、イーアイリリー(LLY:医薬品開発製造大手)など、兆円を超える巨額投資が相次いでいる。業界のグローバルカンパニーの投資は少なく見ても50社を超えると言われている。2024年、日本の対米投資は世界一で124兆円の巨額である。2019年より毎年対米投資は激増している。
グローバル企業の高度人材を供給する仕組みは、世界からアグレッシブで優秀な人材を集める大学院の高等教育にある。特に工科大学から留学するインド系が多い気がする。グローバル企業が世界の都市で採用したビジネスパーソンが実績を上げ、アメリカに優秀な高度人材が集まる仕組みはアメリカの強みである。人物金情報はアメリカに磁気のように吸い寄せる。アメリカは経済学者の言う人手不足にはならないと私は思う。
トランプ大統領の影響力
トランプ大統領の影響力は世界を変え、世界のコモンセンスレボリューションは確実に始まっている。トランプ政権は国際秩序を破壊し民主主義を破壊すると、日本をはじめ米英欧州のオールドメディアは批判を繰り返し地上波で流し続けている。
しかしインターネット調査によると、トランプ大統領施政方針演説に感動し共感したと回答した米国有権者は73%にのぼる。
ネット上にはNATOとは「NO Action talk Only(口先だけで何も行動しない高学歴が自慢の貴族軍人)」と厳しい批判が注目を集めている。特に欧州連合(EU)を率いるEU史上初の女性ウルズラ・フォン・デア・ライエン率いる新欧州委員会には猛烈な批判と反発がある。
そんな世情の中、オールドマスメディアは極右と名指しで批判するフランスのルペン率いる国民戦線(FN)、ドイツのAFD(ドイツのための選択肢)、英国のナイジェル・ファラージ率いる英国党リフォームUKが目覚ましい躍進を遂げている。イタリアの欧州選挙ではメローニ率いるFDI右派連合が圧勝した。オールドメディアはジョルジャ・メローニを「猛獣使い」と揶揄している。
これは米英欧州のベビーブーマーJr.世代が立ち上がった国民的社会運動である。未来は混沌し希望が持てない、経済的には親の世代より悪化の一途である。治安は悪化しテロは頻発し、なぜこんな世の中になったのか、グローバリズムリベラリズムに対する反発の狼煙が上がった。
すべてのSNS情報をリアルタイムで分析し、わかりやすい言葉で解決策を示すのがトランプ政権の特徴である。イーロン・マスク氏はトランプ大統領の意向を受け、SNSで簡潔に課題解決を呟き、結果として世論を巻き起こし共感を誘う。
連邦予算2兆円(300兆円)削減し、20%は有権者に返還する。なんと一人70万円のベーシックインカムである。20%は「エエカッコシ」の民主党政権が積み上げた負債の返済に当てる。これがMAGAである。
アメリカでもドイツでもフランス、英国すべて地方より右傾化(保守)の支持が高い。ドイツを見るとAFDは圧倒的に旧東ドイツエリアである。アメリカの右傾化はラストベルト、英国もフランスもイタリアも同傾向にある。
イーロン・マスクは世界の右派政党に莫大な資金と情報とSNS活用のノウハウを惜しげもなく与えている。自らの名前を晒して各国の保守政党に1億ドルの寄付をしている。神の見えざる手とはトランプ大統領とイーロン・マスクかもしれない。
トランプ大統領の思考とは~アメリカ建国とプロテスタンティズム~
人類史上、任期中にインピーチメント(弾劾訴追)を2回も訴追された大統領は皆無である。1回目はウクライナ疑惑に対する権力の濫用、2回目は議会突入を煽った罪である。2回ともトランプは勝利した。2025年の世論調査によると、バイデン大統領誕生は郵便投票による不正選挙が民主党主導で行われたと考える有権者は4割に達した。暗殺も2回実行されたが、未遂に終わっている。
彼の不屈の闘争心の源は、アメリカ建国の精神にあると私は思っている。新大陸覇権を争う英仏、結果は英国の勝利となるが、英仏共に疲弊し資金不足となり、英仏共に植民地に重税を課した。13州に英国は重税負担を強要したが、新大陸に移民した13州の開拓者たちは自ら銃を手に取り立ち上がった。独立軍に武器を供給し、全面支援した国がフランスである。独立軍を讃える歌が「The Star-Spangled Banner」である。
大英帝国もフランスもヨーロッパも関係ない、アメリカのことはアメリカ人が決めるという自主独立の建国の精神である。二つ目の祈願は、個人個人が軍事も経済も独立してアメリカを真の独立大国にすることである。アメリカを探求した福沢諭吉公は「一身の独立なくして一国の独立なし」と述べた。正にアメリカンスピリットを日本語に訳した言葉である。
アメリカ人の勇気と行動の思考の源はプロテスタンティズムである。行動も道徳も新約聖書に書かれている。大統領就任式でも裁判所でも新約聖書に手を当てて神の前の誓いを述べる。最後の言葉は「神の御加護を」…アーメン。
繰り返し繰り返し家庭や教会で行った習慣は潜在意識に浸透し人間を創る。トランプ大統領は熱心なプロテスタント・カルバン派である。激しい言葉の裏には教会に通い、教会に協力して、寄付し続けたトランプ大統領の生き様がある。彼の言葉は単純明快で、「性別はあなたは神が創った通りの完璧な存在である」と述べている。性転換施術費用補助は即中止し、妊娠中絶も保険対象から除外するだろう。
世界の歴史学者や経済学者はトランプ思考を「ポストリベラリズム」と表現している。
トランプ大統領誕生は必然~大衆が繋がる時代行き過ぎた資本主義は消滅の危機にある~
米国の所得税は誰が払っているのか?
アメリカ国民の上位1%が所得税の40.4%を支払い、上位10%が72%を納税している。bottom50%の納税率は僅か3%である。もはや中間層は破壊されて、平均所得は意味をなさない。所得は中央値で見るしかない。
ベビーブーマーJr.達は、親の世代の豊かなアメリカを越えられず、未来に不安と恐怖を抱いている。鬱分やるかたない不満のマグマがトランプ大統領を誕生させた。必然と言わざるをえない、行きすぎた資本主義の現実である。
しかしアメリカ経済は強く、世界のGDPの26%を30年叩き出し続けている。高学歴のエリート達が大義の美旗を掲げ、今だけ金だけ自分だけの政治、経済活動をやり続けた結果がアメリカの今である。ホームレスと麻薬中毒患者はセンター街にたむろし、テロは日常茶飯事。万引きしても1000ドルまでは検挙もされず、刑務所は満杯で民間に委託され、多大な費用を血税より食い尽くす。病めるアメリカの現実である。
英国、欧州、北欧も病めるアメリカに感染している。国際協調、国際機関はすべて世界大戦後アメリカ主導で造られた仕組みである。WHOも費用の五割はアメリカが負担し、スーパーパワーのアメリカの負担割合は80年経った現在も変わらない。平等に世界各国が負担すべきとの声が上がり、世論が形成される。WHO脱退、グリーンエネルギーもいかがわしい。もはやアメリカ頼みは許されない時代となった。
関税政策は何を目指しているのか?
日本の対米黒字はそこまで大きくない
貿易赤字の第一位は圧倒的に中国である。現在中国のハイテク商品には平均25%の関税がかかっている。その上に10%、さらに10%で45%となる。その上抜け駆けして、メキシコ、カナダを中継地として輸出。完全に中国の対米輸出を問題視し、貿易戦争も辞さない覚悟である。
関税は実はアメリカの消費者が払うことになる第二の消費税である。更なる物価高騰のリスクを伴う。そのための対策がDOGE削減額の20%を消費者に返還する政策と思われる。
日本は米国との激しい貿易摩擦、凄まじい円高を経験して、地産地消を合言葉にかなりアメリカ、メキシコ、カナダに工場を移転している。マクロに見ればアメリカに支払うサービス赤字(デジタル赤字)は2024年7兆円に迫る。おそらくアメリカ貿易黒字は7〜8年で解消する。
日本のエリートは一流と呼ばれる大学を卒業して留学し、日系企業に就職、責任者となる。儲かったお金を成長が見込めるアメリカに投資する。事業を立ち上げることも事業を買うこともリスクは高い。結果、対米投資は毎年膨れ上がり2024年度は124兆円である。
その上、政府はアメリカ隷属。NISAやiDeCoで集めた投資資金はまたアメリカに向かう。国内では資金が回らず、失われた30年の負の連鎖である。
アメリカは19世紀中頃より世界大戦まで、50%を超える高関税の国であった。大英帝国のグローバリズムを知り尽くしたアメリカの指導者は、砂糖、コットン、農作物など作りやすい作物に特化して経済政策を実施すれば、真の経済大国になれないことを知っていた。リカルド、アダム・スミスの理論を英国は押し付けてくる。しかしアメリカは自国産業を保護し育成し、蒸気機関からエンジン、電気と次々イノベーションを起こし経済大国に突き進んだ。
20世紀初頭には戦争も経済もアメリカ抜きでは考えられない時代となった。パワーシフトは必然的に起こり平和に推移した。大戦後、ブレントン=ウッズ会議(ブレントン=ウッズ体制)により国際秩序の枠組みが現在の秩序の原型である。強いアメリカは大戦後グローバリズムに舵を切った。アメリカの製造業は1980年より空洞化し、サービス産業が年々成長を遂げた。
米中覇権争い、貿易戦争激化の今、状況次第では中国とのビッグディールもあり得る。情報をクイックにキャッチアップし、次の対策を繰り出す。情報戦で日本の未来は決まる。小国といえどもイスラエルは情報戦を巧みに優位に活用する。イスラエルの良いところを学び、日本の未来のために日本のエリートに奮闘してほしいと切に思う。
【参考文献】
■TAX FOUNDATION「Summary of the Latest Federal Income Tax Data, 2025 Update:November 18, 2024 readBy: Erica York」
■The Guardian「Why is Trump imposing tariffs and which countries will be hit hardest? – in charts」
■PIIE「The historic significance of Trump’s tariff actions:Douglas A. Irwin(PIIE)Date February 4, 2025 9:27 AM」
平和と平等を目指す本質的意図と日本メディアの誤解
ドナルド・トランプ大統領は、最近の議会演説で「アメリカ・イズ・バック」という力強いメッセージを発し、多くのアメリカ国民の共感を呼んだ。演説は単なる経済的な措置を超え、真の意味での平和と国家間の公平性を強調するものだった。しかし、日本のメディアは新たな関税措置を「日本経済への悪影響」として批判的に取り上げる傾向が強く、トランプ政権の意図やその本質を十分に理解しているとは言い難い。今回、FOXニュースやNBCニュースの報道を通して、トランプ大統領の新関税政策の真の目的と、その背後にある平和と平等の理念について詳しく掘り下げていく。
トランプ政権による新関税政策の概要
トランプ政権が導入した新たな関税措置は、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国からの輸入品に従来の倍となる20%の関税を課すという内容だ。影響を受ける対象品目は自動車、住宅関連資材、ガソリン、メキシコ産農産物(アボカドなど)など幅広い分野に及ぶ。FOXニュースの報道によると、経済専門家はこれらの措置がインフレや貿易戦争を引き起こす可能性を指摘し、民主党からも消費者物価への悪影響が懸念されていると批判が出ている。またNBCニュースでは、特に自動車産業において最大12,000ドルの価格上昇が予測されていることを報じており、ターゲットなどの小売業者は既に値上げを発表している。ただし、こうした短期的な影響を政府は認識しており、貿易関係を平準化する長期的利益を重視する姿勢を示している。
日本メディアの反応と誤解
日本メディアは新たな関税措置について、主に日本経済へのマイナスの影響を強調する報道が多い。特に自動車や電子機器といった日本の主力産業が打撃を受ける可能性があるという視点が中心だ。その結果、日本国内では関税措置に対する不安や反発が広がり、短期的な経済的損失ばかりに焦点が当てられている。しかし、こうした報道は、関税政策がもつ長期的かつ戦略的な意味合い、すなわち公平な国際貿易の実現や貿易不均衡の是正、さらには国内製造業の再活性化というトランプ政権の真の狙いを十分に伝えていない。日本メディアの表層的な報道が、関税政策に対する理解を歪め、トランプ政権の本質的な目的を軽視する原因となっている。
トランプ政権の真意:平和と国際的平等の追求
トランプ大統領の関税政策の根本には、国際的な貿易不均衡の是正を通じて国家間の平等を実現する理念がある。ホワイトハウスはこの政策を、不法移民問題、麻薬の流入、さらには外国への製造業依存の軽減を目指す戦略的施策と位置付けている。トランプ大統領は、他国との公平な競争条件を整えることで、結果的に国内産業を強化し、長期的な繁栄と安定をもたらすことを狙っている。また、NBCニュースでも触れられたように、この政策は短期的なコストを伴うが、最終的には米国経済の強靭化や国際秩序の再構築に寄与すると主張している。
ウクライナ問題から見る平和への意識
トランプ政権はウクライナ問題においても、平和を追求する姿勢を明確にしている。ゼレンスキー大統領から平和交渉に前向きな書簡を受け取ったことを公表し、軍事援助を一時的に停止する措置を継続している。これは単なる支援停止ではなく、交渉を促し、永続的な平和を追求するための戦略的措置である。NBCニュースはトランプ大統領の交渉戦略として、この強硬姿勢を評価しており、関税措置と同じく「力を背景にした外交」で国際社会に公平な平和を目指していると解説している。
アメリカ国内における政治的反応と課題
新たな関税措置に対し、民主党は日常生活費の上昇や公共料金への影響を懸念し、批判的な姿勢を示している。ナンシー・ペロシ下院議員は「今回の関税措置は一般市民、特に低所得層に重い負担を強いるものであり、消費者の生活を圧迫する」と述べ、チャック・シューマー上院院内総務も「関税は実質的に米国民への増税であり、長期的な経済的利益が明確でない」と批判している。一方、共和党内では公式に支持する声が多いが、農業州や自動車産業を地盤とする議員からは不安視する声もある。特に自動車価格が最大12,000ドル上昇するなどの試算が出ており、共和党内部でも政策の長期的効果と短期的影響との間で葛藤が見られる。
日本のメディアもトランプ政権の意図を表面的な経済的影響だけで判断するのではなく、長期的かつ広い視野で、国際秩序や経済の持続可能性、国家間の公平な競争環境の構築という視点から深く評価すべきである。短期的には価格の上昇や市場の混乱が起こる可能性は否定できないが、それらを超えた先には、貿易の公平性が改善され、アメリカ国内の製造業の復活や、過度な外国依存の低下による国家安全保障の強化といった、大きな恩恵が待ち受けている可能性がある。トランプ政権が提示した関税政策は、単なる経済的措置に留まらず、国際社会に対する重要なメッセージであり、すべての国が平等に利益を享受できる持続可能な国際貿易の枠組みを作り出すための一歩である。日本もこれを機に、表面的な影響にとらわれず、アメリカの真意を理解し、国際社会の平和と公平性を促進する方向で、積極的に関わっていくことを期待したい。
おわりに
本稿では、アメリカの政治経済状況やトランプ大統領の影響力について考察しました。アメリカの累積債務や巨額投資、トランプ大統領の政策とその影響力について、多角的に分析しました。特に、トランプ大統領の施政方針演説や彼の影響力がもたらす世界的な変化について触れました。
店舗、オフィスの移転における原状回復についても、適正な査定と敷金返還の無料相談を承ります。さらに、ビジネス拡大を目指した新店舗出店や新オフィス開設のご相談まで、ワンストップでサポートさせていただきます。オフィス環境の改善や最適化を通じて、働きやすさや生産性の向上を実現するお手伝いも可能です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。貴店および貴社の成功を心より祈願いたします。
|
萩原 大巳 (Hiromi Hagiwara)
一般社団法人RCAA協会 理事
オフィス移転アドバイザーとしての実績は、600社を超える。原状回復・B工事の問題点を日経セミナーで講演をする。日々、オフィス・店舗統廃合の相談を受けている。オフィス移転業界では、「ミスター原状回復」と呼ばれている。 |
---|