アラブ首長国連邦(UAE)は、7つの首長国が協力して築いた連邦国家であり、各首長国は民族の尊厳や歴史を国旗と国章で象徴しています。国旗の黒は植民地時代の苦難を、赤は聖戦での犠牲者を、白は清浄な生活を、緑は豊かな国土を表しています。国章のゴールデンイーグルはイスラム教徒の強さと勇気を象徴し、円盤の7つの星は各首長国を示しています。
UAEの支配階級は伝統的な民族衣装を身にまとい、日々の生活を楽しみながら、民族の歴史や地政学を次世代に伝えています。公用語はアラビア語と英語で、ほとんどの国民が英語を理解しています。彼らは、偉大な哲学者アーノルド・J・トインビーの「民族に誇りを持ち、真の歴史を理解しなければ滅びる」という教えを実践しています。
ドバイは、人口340万人のうち92%が移民労働者であり、治安が良く、外国人女性も夜中に安全に外出できます。ホームレスや麻薬常習者、アルコール依存症もいません。都市開発による緑と運河が広がる街並みが特徴です。エリアごとに異なる特徴を持つ都市で、ダウンタウンエリアやブルジュ・ハリファ周辺、フリーゾーンエリアなどがあり、それぞれ独自の規約や目的があります。
ドバイの不動産市場は成長を続けており、特にEmaarなどの国策デベロッパーが高い評価を得ています。ドバイの物件は青田売りが一般的で、購入時にはサービス税を支払うだけで、保有税や相続税はかかりません。賃貸物件としての活用も容易で、高い利回りを期待できます。
UAEの法律や倫理観に違反すると、ゴールデンビザが取り消され強制送還されるため、麻薬やお酒のトラブルには注意が必要です。通貨はUAEディルハムで、契約形態はイギリススタイルのアグリーメントが主流です。イーサリアムやビットコインでの支払いも可能な物件が多く、インターナショナルカレンシーに依存しない姿勢が見られます。
ドバイはアラビアンの国であり、特にエミラティ(Emirati)と呼ばれる地元のアラブ人を優遇する政策が取られています。ドバイは選挙も税金もない自由で開かれたイスラム経済圏の最大都市です。ここに住むエミラティは、医療費や教育費、留学費用などを国から支援されています。特に英語とITの教育が充実しており、彼らのエスタ(期待される役割)は、留学を経て3カ国語を話し、国家公務員や国策銀行、国策デベロッパーの管理職になることです。
エミラティの初年度年俸は日本円で約3200万円です。また、結婚すると首長から広い土地をもらうことができ、妻も4人まで正式に認められます。これらは子供を増やし、教育を通じてUAEに誇りを持つ人財(HR)を育てるための戦略の一環です。
ドバイはイスラム経済圏最大の都市として、優れた若者や投資家を引き寄せ続けています。その成功の背景には、アラブの支配階級の矜持と知恵と戦略があるのです。
ドバイの奇跡を支える謎の資産家一族、アルサーカル家に迫る!
「世界最速で発展する都市」と呼ばれるドバイは、1971年のUAE独立以来、驚異的な経済成長を遂げ、世界中から人や資本が集まる中東の中心地です。この都市の発展には、有力な一族の力が大きく関与しています。特に、アルサーカル家は革新的な技術でドバイの進化を支えてきました。
アルサーカル家は1947年に「アルサーカル・グループ」を設立し、先進的なボートエンジンや自動車技術を導入してきた実業家一族です。今回、グループのCEOアハメッド・アルサーカル氏の次男であり、執行役員を務めるエイサ氏への取材が実現しました。
「アルサーカル家は165年以上の歴史を持つ一族です。私の曽祖父ナセル・アルサーカルが1947年に実業家に転身し、ドバイに初めて電話機を持ち込み、国営電話会社を設立しました。私はナセルから数えて4代目で、不動産部門の責任者を務めています。」
アルサーカル家は日本とも深い縁があります。1953年からブリヂストンの販売代理業務を開始し、現在も続けています。エイサ氏は「父アハメッドは日本の真面目な働きぶりと豊かな文化に感銘を受け、日本が大好きだと話しています」と語りました。
ドバイを変革するアルサーカル・グループの革新力
アルサーカル・グループは、ドバイをはじめとするUAEの生活水準向上を目指し、多岐にわたる事業を展開しています。現在、グループが経営する企業は約25社あり、規模が大きいのは投資事業ですが、不動産、貿易、建設、芸術文化、廃棄物処理など幅広い分野でビジネスを行っています。最近はICTやAIを活用したスマートモビリティ事業も始めました。ドバイの首長ムハンマド殿下は2030年までに交通機関の4分の1を自動運転に切り替えることを目指しており、アルサーカル・グループもその実現に向けて挑戦しています。
廃棄物管理も注力している分野の一つです。廃棄油からバイオディーゼル燃料を作る事業は欧米やシンガポールで既に実現していますが、中東では初の試みです。ドバイの急速な発展に伴い、廃棄物も増加しています。経済発展と地球環境の両立を目指すことも、アルサーカル・グループの重要な使命です。
ドバイが世界屈指の未来都市に成長した理由について、エイサ氏は政府の先進性を挙げます。多くの国では、革新は民間企業から生まれますが、UAEは逆です。首長がビジョンを示し、民間企業がそれに追いつく努力をします。UAEはトップダウンで意思決定が行われるため、スピードが速い。これがUAEの強みです。
エイサ氏は、リーダーシップについて現状に満足せず、常に学び続けることが大切だと語ります。リーダーは正しい知識を持ち、それに基づいて適材適所のマネジメントを行います。しかし、ビジネスの多くは仲間に任せます。それが彼らの成長につながるからです。エイサ氏の役割は、大局を見失わないようにすることです。
日本と共に医療ビジネスを切り拓くドバイの革新者
エイサ氏はビジネスの最新動向をつかむため、世界中を飛び回っています。日本にも1〜2年に一度訪れ、日本の製品やサービスのクオリティの高さ、人々の信頼性に感銘を受けています。彼はすでに日本の企業といくつかのプロジェクトを共同で進めており、今後さらに関係を深めたいと考えています。特に注目しているのは幹細胞治療をはじめとする日本の先端医療です。ドバイには糖尿病患者が多いため、幹細胞治療は彼にとって最重要の事業と捉えています。
エイサ氏は、ドバイの人々が義理人情を重んじる点で日本人と似ていると感じています。言語の壁はあっても心の壁はないとし、ドバイと日本はビジネス面でも文化面でも今後さらに密接になると確信しています。
ドバイでビジネスを始めるなら!フリーゾーンの魅力と起業のステップ
Q1. ドバイに進出するビジネスはどんな業種が多いですか?
ドバイは、外国企業が完全に自分たちの資本だけでビジネスを行うことができる国です。
特に「フリーゾーン」と呼ばれる経済特区では、外資100%でのビジネスが可能です。現在、飲食業、エンターテインメント業、物流業など、計122の業種が外国企業に開放されています。つまり、これらの業種では、外国企業がドバイで100%自分たちの資本で自由にビジネスを始めることができるようになっています。この変化により、様々な国から多くの企業がドバイに進出してきています。
Q2. ドバイでの生活と起業の魅力とは?
税制優遇の魅力
ドバイでは、個人の税金は消費税のみで、所得税や住民税、贈与税は一切ありません。さらに、企業もフリーゾーン内でビジネスを行う場合、法人税がかからず、大幅なコスト削減が可能です。
国際都市としての魅力
ドバイの住民の約9割が外国人で、多様な文化が共存する非常に国際的な環境です。世界中から集まる才能と一緒に働き、学び合えるため、グローバルなネットワークを築く絶好のチャンスが広がっています。
Q3. ドバイでの生活と起業する際の知っておくべき注意点は?
暑さの影響
ドバイの夏は非常に暑く、7月から9月にかけては多くの人が避暑地に移動します。この期間中、国内向けビジネスの動きが鈍くなることがあります。
高い生活コスト
家賃や外食費、特にお酒の価格が高いです。ワンルームの家賃は月20万円から、2ベッドルームの家賃は月50万円からと、全体的に生活費が高めです。医療費も高いため、保険への加入が推奨されます。
Q4. ドバイでのビザ取得は簡単?
ビザ取得の簡便さ
ドバイでは、いくつかのビザオプションがあり、取得は比較的簡単です。たとえば、「フリーランスビザ」は企業に所属していなくても取得可能です。また、一定の価格以上の不動産を購入することで取得できる「不動産ビザ」もあります。
起業家に優しい制度
起業する場合は、法人を設立し、自分自身に就労ビザを発行することが一般的です。ドバイでは、学歴や収入の要件がなく、オンラインで簡単に申請できます。
迅速な手続き
通常、申請から数週間でビザが許可されます。その後、UAEに渡航し、健康診断などの必要な手続きを行うことで、1~2か月でビザが完全に取得できます。この間、出国は制限されますが、手続きはスムーズです。
Q5. ドバイでの銀行口座開設は簡単?
手軽な手続き
ドバイでの銀行口座開設は、必要な書類が揃っていれば非常に簡単です。エミレーツIDと携帯電話番号があれば、個人口座も法人口座もスムーズに開設できます。
通信会社のサポート
エミレーツIDがあれば、エティサラートやドゥといった通信会社で携帯電話の契約がすぐにできます。これにより、必要な電話番号を取得し、銀行口座開設の準備が整います。
迅速な開設プロセス
通常、個人口座はその場で開設でき、法人口座も特に問題なく開設可能です。これにより、ドバイでのビジネス活動を迅速に開始することができます。
Q6. ドバイでアラビア語は必要?ビジネスに役立つ言語事情とは
英語だけで大丈夫
ドバイでは、ほとんどの手続きや日常生活が英語で行えます。ビジネスにおいても英語が主要なコミュニケーション手段となっており、アラビア語を話せなくても問題ありません。
多国籍な環境
ドバイは国際都市であり、住民の約9割が外国人です。そのため、英語を話す人が非常に多く、英語が共通言語として広く使われています。
安心のサポート体制
訴訟などの特別な場合を除き、ほぼすべての公式手続きが英語で可能です。英語がネイティブでない人も多く、多少の間違いは気にされません。
Q7. ドバイでの起業費用はどれくらい?
初年度の費用
ドバイでの起業には、初年度に約100万円の設立費用がかかります。この費用には、会社設立の手続きや必要な許可の取得が含まれます。
継続的な費用
翌年以降も法人維持費として年間約100万円が必要です。これは、事務手続きや必要なライセンスの更新に使われます。
十分な資金準備
ドバイの高い物価を考慮すると、起業には1,000万円程度の資金を用意しておくと安心です。これにより、予期しない出費や初期の運転資金をカバーできます。
スタートアップ支援
ドバイではスタートアップ向けの助成金や支援プログラムも充実しており、情報収集と活用が重要です。
Q8. ドバイで信頼できる起業エージェントと出会うには?
紹介を活用
最も安心なのは、既にドバイで起業し成功している人からの紹介です。信頼できるエージェントを紹介してもらうことで、スムーズな起業準備が可能になります。
専門性の確認
ドバイには多くの日系エージェントが存在しますが、特に専門資格が必要とされていないため、信頼性の確認が重要です。エージェントの過去の実績や評判を調べることで、適切なサポートを受けられるか判断できます。
ネットワークの活用
私たちも信頼できるエージェントや専門家のネットワークを構築しています。地道な情報収集とネットワーキングを通じて、信頼できるパートナーを見つけることができます。
ドバイでの起業成功には、信頼できるエージェントとの出会いが重要です。紹介や実績の確認を通じて、最適なパートナーを見つけましょう。
Q9.フリーゾーンとは?
フリーゾーンとは、特定の地域において企業に対してさまざまな優遇措置が提供される経済特区のことを指します。ドバイには40以上のフリーゾーンが存在し、以下のような特典があります。
税制優遇
法人税や所得税の免除が適用されます。これは企業のコストを大幅に削減するため、特に新規ビジネスにとって魅力的です。
フリーゾーン内での収益は無税であり、国際的な取引においても有利な条件が整っています。
関税の免除
フリーゾーンは保税区とされており、海外から輸入される商品には関税がかかりません。このため、物流や製造業が盛んに行われています。
独自の規制
フリーゾーン内では、UAEの一般的な会社法ではなく、それぞれのフリーゾーンの規則が適用されます。これにより、ビジネス運営がより柔軟に行えることが特徴です。
これらの特典により、ドバイのフリーゾーンは多くの外国企業にとって魅力的な場所となっており、中東地域の物流ハブとしても重要な役割を果たしています。
萩原 大巳 (Hiromi Hagiwara)
一般社団法人RCAA協会 理事
オフィス移転アドバイザーとしての実績は、600社を超える。原状回復・B工事の問題点を日経セミナーで講演をする。日々、オフィス・店舗統廃合の相談を受けている。オフィス移転業界では、「ミスター原状回復」と呼ばれている。 |