飲食業界は、コロナ前は20兆円を超える大きな産業でした。この業界は、アルバイトや特別なスキルや高学歴が必要ない人たちの雇用の受け皿でした。しかし、コロナ禍により大きな打撃を受け、2023年の売り上げ予測では14兆円と、3割の売り上げ減少が予想されています。多くの店舗が倒産の危機に瀕しています。
一方、飲食店は現在人手不足にも悩んでいます。コロナ禍による離職率が高まり、時短営業による収入減、採用難など悪い循環に陥り、資金繰りが悪化しています。さらに、DXによる変化もあり、まさに三重苦となっています。これらの背景には、どのような要因があるのでしょうか?
飲食店の倒産件数が過去最高になった理由
飲食店の倒産件数は、2021年1月から11月までに3000件を超え、過去最高を更新しました。これは前年同期比で30%以上増加しており、コロナ禍以前の水準を大きく上回っています。倒産の主な原因は、コロナ禍による売上減少です。特に都市部では、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などにより、時短営業や酒類提供停止などの制限を受けました。これにより、夜間や宴会などの需要が大幅に減少しました。また、テイクアウトやデリバリーなどの新たなサービス展開も限界があります。さらに、家賃や人件費などの固定費が重荷となり、資金繰りが悪化したことも倒産の要因です。
飲食店の6割が従業員待遇を改善した理由
一方で、人手不足対応のために、飲食店の6割が従業員待遇を改善したという調査結果があります。具体的には、賃金やボーナスの引き上げ、社会保険や有給休暇の充実、シフトや勤務時間の柔軟化などが行われています。これらの施策は、従業員の離職率を下げるだけでなく、新規採用や再雇用にも効果があると考えられます。しかし、これらの施策にはコストがかかります。売上が減少している中で、従業員待遇を改善することは、経営者にとって大きな負担となります。そのため、飲食店の6割が従業員待遇を改善したということは、人手不足への危機感が高いことを示しています。
飲食店の倒産が過去最高なのに、なぜ人手不足なのか?
では、飲食店は倒産が過去最高なのに、なぜ人手不足なのでしょうか?その理由はいくつかあります。まず、コロナ禍で失業した人々の多くは、他の業種や職種に転職したり、再就職を見送ったりしています。これは、飲食業界が不安定で厳しい環境にあるというイメージが強いためです。また、飲食店で働くことに対する評価や認知度が低いことも問題です。飲食店の仕事は、長時間労働や低賃金、肉体的・精神的な負担などが多いというネガティブなイメージがあります。さらに、コロナ感染のリスクも高いと感じる人もいます。これらの要因により、飲食店で働くことに魅力を感じない人が増えています。
飲食店は今後どうなるのか?
飲食店は、人手不足と倒産の両方に対応する必要があります。そのためには、以下のような対策が考えられます。
– コロナ禍に適応したサービスやメニューの開発
– テイクアウトやデリバリーなどのオンライン販売の強化
– 家賃や人件費などの固定費の削減や助成金の活用
– 従業員待遇の改善や教育・研修の充実
– 飲食店の仕事の魅力や価値の発信や啓発
– 業界全体での協力や連携の促進
以上のように、飲食店はコロナ禍で大きな困難に直面しています。倒産と人手不足の二重苦に加えて、消費者の嗜好やライフスタイルの変化にも対応しなければなりません。今後は、ワクチン接種や感染対策の進展により、外出や外食の回復が期待されます。しかし、それだけでは飲食店の危機を乗り越えることはできません。飲食店は、従業員待遇の改善やサービスの多様化など、自ら変革することが求められます。また、政府や自治体などの支援も必要です。飲食店は日本の文化や社会に欠かせない存在です。私たちは、飲食店を応援し、守っていくことが大切です。
“チャンス到来” 執筆者 萩原 大巳
外食産業は、パパママストアからマクドナルドまで、エリートが少ない産業構造です。官僚や政治家が軽視しがちな産業のため、一枚岩で政治にコロナ補助金の申請もせず、コロナ禍を3年間凌いできました。しかしながら、この産業の雇用が日本経済を底辺で支えています。
人手不足、食材の高騰、運送コスト増、少子高齢化、デフレマインド、コロナ感染症と悪いことばかりに思われますが、スシローの財務三表を見ると、海外売上高は3割を超えてきました。シンガポールでは一皿370円、バンコクでは180円、東京郊外でも120円と、実は海外で利益を出しています。
日本の強みは、値段の割に極めて高い品質と笑顔のサービス力です。都心の繁盛店は、どこへ行っても外国人が楽しく飲んで食べて話して情報交換しています。この需要(インバウンド)を取り込むことが重要です。マーケティングで世界にあなたのお店を紹介してください。決済もドルと円、モバイルにも対応してください。
コロナ前のインバウンドは約3,200万人でした。外国人は活発に観光に来ます。その上、安くて高品質、サービスが行き届いた安心・安全の日本へのインバウンドは1億人に限りなく近づくことでしょう。
インバウンド人気というと、№1はアニメ「君の名は」によって世界で有名になった飛騨高山があります。歴史に裏打ちされた文化力、サービス力、品質力は世界で№1です。ぜひインバウンドというチャンスを活かし、繁盛店に挑戦してください。
私たちは、インバウンド対応もサポートいたします。英語圏、中華圏、中国など、あなたのお店の情報発信をサポートします。その他、店舗デザインやカスタマイズ、B工事の相談も承ります。
あなたのご多幸を祈ります。
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萩原 大巳 (Hiromi Hagiwara)
一般社団法人RCAA協会 理事
オフィス移転アドバイザーとしての実績は、600社を超える。原状回復・B工事の問題点を日経セミナーで講演をする。日々、オフィス・店舗統廃合の相談を受けている。オフィス移転業界では、「ミスター原状回復」と呼ばれている。 |