知らないと損する!賃貸借契約書の重要ポイント6選

2025.05.28

知らないと損する!賃貸借契約書の重要ポイント6選

賃貸借契約を結ぶ際、契約書の確認を後回しにしたり、「難しいから」と深く考えずに署名してしまったりする方が意外に多いのではないでしょうか。しかし、実際にはその「一枚の契約書」に、将来の費用負担や契約トラブルを避ける鍵が隠されています。特にオフィスや店舗の賃貸借契約では、見落とした小さな条件が後々、大きな負担へと発展することが珍しくありません。

例えば、「契約期間が不明確で中途解約ができず多額の違約金が発生した」「原状回復義務を把握しておらず予期しない出費が重なった」「工事の区分範囲が曖昧で想定外の負担を強いられた」など、実際に多くの企業や店舗が契約内容の認識不足によって悩まされています。

契約書を細かく確認することは、面倒で複雑な作業に感じるかもしれません。しかし、この手間を惜しまないことこそが、将来的なトラブルや経済的損失を未然に防ぐ最善の策となります。今回、そんな契約にまつわるトラブルを未然に防ぐため、特に重要な6つのポイントを初心者にもわかりやすくまとめました。難しい法律用語や専門用語を極力避け、具体例を豊富に取り入れています。

さらに、これらのポイントを簡単にチェックできるリストもご用意しました。このチェックリストを活用することで、契約前に確認が必要な事項を漏れなく押さえることができます。

契約は未来への投資です。契約書を理解することで、あなたのビジネスや事業を安心して進めるための基盤を築きましょう。本書がその一助となることを心より願っています。ぜひ最後までご一読ください。

 

賃貸借契約書を確認する際の重要ポイント

~契約前に必ずチェックしたい6つの項目~

賃貸借契約を結ぶ際には、契約書の内容をしっかり確認しておくことが、後々のトラブルを防ぐために非常に重要です。特に以下の6つの項目は、費用負担や契約の継続・終了に大きく関わるため、契約前に必ず確認しておきましょう。

 

賃貸借契約書チェックリストはこちら▶

 

1. 契約期間

契約期間が不明確だと、退去時期を誤って中途解約となり、違約金が発生する恐れがあります。特に定期借家契約では途中解約が認められず、残り期間分の賃料を請求されることもあります。また、自動更新や、更新時に賃料が上がるケースもあり、予期せぬ費用負担や契約継続のリスクが生じる可能性があります。契約期間や自動更新の有無、条件変更の可能性は、契約前に必ず確認しましょう。

  • 自動更新の有無

  • 更新時の賃料変更の有無

  • 定期借家契約における途中解約の条件

2. 原状回復範囲義務

退去時に思わぬ高額請求を防ぐため、スケルトン戻しの有無や原状回復の範囲を事前に確認しましょう。例えば、照明や空調設備の撤去費用が借主負担になることもあります。特に高額になりやすい工事内容は契約前にしっかり把握することが大切です。

※スケルトン戻しとは、借りた時の状態(壁紙や設備を撤去した躯体のみの状態)に戻すこと

3. 更新条件

更新後に賃料が上がるケースや、更新料・事務手数料が発生する場合があります。また、契約内容が変更されることもあるため、更新時の条件は必ず確認しましょう。知らずに更新すると、予想外の費用や不利な条件で契約を続けることになる恐れがあります。

※更新料とは契約更新時に借主が貸主に支払う費用、事務手数料は手続きに伴う手数料のこと

4. 解約条件

定期建物賃貸借契約では原則として中途解約が認められず、途中で解約すると残り期間分の賃料や違約金が発生することがあります。さらに、解約通知の期限(例:3ヶ月前)を守らない場合も、契約内容によっては追加費用が発生することがあるため、解約時の条件は必ず契約前に確認しましょう。

※定期建物賃貸借契約とは、契約期間満了で必ず終了する契約形態のこと

5. 工事区分範囲(A工事・B工事・C工事)

A工事(貸主負担)とB工事・C工事(借主負担)の範囲が明確でないと、想定外の費用が発生する恐れがあります。例えば、本来A工事である空調設備の設置がB工事扱いになっていたり、C工事で壁紙を変える際に事前承認が必要なケースもあるため、契約前に確認が必要です。

  • A工事:貸主が費用を負担し、貸主が施工する工事

  • B工事:借主が費用を負担し、貸主指定業者が施工する工事

  • C工事:借主が費用を負担し、借主自身が施工する工事(ただし事前承認が必要な場合もあり)

6. 賃料・共益費の改定条件

契約期間中でも、物価上昇や税制変更を理由に賃料や共益費が改定されることがあります。例えば「2年ごとに見直し」といった定期改定条項や、物価指数に連動する調整条項(消費者物価指数、CPIなど)がある場合、予期せぬ負担増となる可能性があるため、改定の条件や基準は事前に確認しましょう。

 


 

以上のポイントを踏まえたうえで、以下のチェックリストをダウンロードしてご活用いただければ、契約書の確認漏れを防ぎながら、大事な内容をひとつずつしっかりチェックできます。
「見落としてた!」を防ぐためにも、ぜひ活用して、納得のいく契約を結びましょう。

 

賃貸借契約書チェックリストはこちら▶

 

 

 

萩原大巳

萩原 大巳 (Hiromi Hagiwara)

一般社団法人RCAA協会 理事
【協会会員】株式会社スリーエー・コーポレーション 代表取締役CEO

  • ワークプレイスストラテジスト
  • ファシリティプロジェクトマネージャー

オフィス移転アドバイザーとしての実績は、600社を超える。原状回復・B工事の問題点を日経セミナーで講演をする。日々、オフィス・店舗統廃合の相談を受けている。オフィス移転業界では、「ミスター原状回復」と呼ばれている。