東京の不動産賃貸市場が大きく変化しました。カレッタ汐留という一等地の場所では、ビジネスパーソンがほとんどいません。そのため、飲食店街の多くが閉まっています。さらに、マクドナルドも撤退し、電通、富士通などの企業も働き方の変化に合わせて、リモートワークが普及し、オフィスを見直して移転しました。その結果、店舗の閉鎖やオフィスの縮小が注目されています。
この変化に伴い、敷金返還に関連して原状回復義務の相談が増えています。
明渡しが遅れると遅延損害金が発生する
賃貸物件の明渡しを遅延した場合、原状回復工事や次のテナントの入居工事に影響が出ます。また、新しい入居者の募集も遅れます。退去が遅れた場合、日数分の家賃の倍額を請求されます。原状回復が終わり検査が済み、鍵の返却日が明渡し期日となります。
工期も工事費用もサバをよむ賃貸人
原状回復工事とは、賃貸物件を退去する際に、賃借人が賃借した時の状態に戻すために行う工事です。費用や工期は、物件や契約書などによって異なります。見積もりを取得した後に減額交渉することはテナントの正当な権利です。
しかし、見積書の内容を検証する必要があります。賃貸人が業者を指定することは問題ありませんが、原状回復の範囲、施工体制、価格など適正価格を見極めるには専門家の知識が必要です。改正民法が最大の考慮要件となります。
【参考】
原状回復の相場観
原状回復工事は、賃貸借契約書に従って行います。契約書には、工事の範囲や費用、工期などが書かれていますので、確認してください。不明な点は賃貸人やビル管理会社に聞いてください。工事の費用や工期は、オフィスの規模や内容によりますが、以下のような目安があります。
- 費用:小規模オフィスは坪単価3万円~5万円、大規模オフィスは8万円~15万円
- 工期:100坪で30日前後
専門家に依頼して適正価格かどうかを判断してください。工期が長いと次の入居者に影響が出ることもありますので、早めにスケジュールを確認してください。
自分で対処できない場合は、オフィス移転の専門会社に相談することも可能です。
執筆者コメント
カレッタ汐留の状況は驚くべきものです。オシャレな街代官山駅前も空き室ばかりです。コロナ禍によりデジタル化が進み、働き方や価値観も変わってしまいました。敷金や原状回復に関する民法改正も2020年4月に実施されました。日本では預託金(敷金)が家賃の12カ月分という高額な設定であり、原状回復が完了しない限り敷金は返金されません。中小企業やビルオーナーも財務面で損害を受けています。原状回復の適正な価格を理解し、敷金がいついくら返金されるかを把握してください。改正民法が最も重要な考慮事項です。改正民法に基づいて原状回復見積条件書を作成できる専門家に相談することをおすすめします。
おすすめ動画
執筆者紹介
萩原 大巳 (Hiromi Hagiwara)
一般社団法人RCAA協会 理事
原状回復・B工事適正査定のパイオニア |
アドバイザー紹介
山田 貴人(Takahito Yamada)
500坪以上のスーパーグレードビルから中小規模のオフィス、店舗、住宅等、多岐にわたり原状回復トラブルを解決。
堀田 猛(Takeshi Hotta)
商業施設や賃貸物件の内装に詳しく、原状回復・B工事のコンサルタントとして多くの実績がある。