資産除去債務FAQ
資産除去債務(原状回復)FAQ
IFRS(国際会計基準)や US-GAAP(米国会計基準)は、以前から資産除去債務の会計的概念は抽象的であり、原則主義です。原状回復費用の問題は将来確実に発生する債務ですが、事業計画でオフィスを仮に5年と設定した場合、5 年で毎年償却することになります。欧米との違いは原状回復の指定業社がないため、明確な費用算出が可能です。
我が国の賃貸借契約は、原状回復の内容も貸主の意向でそれぞれ大きく違い、また指定業者制度の弊害で費用が高額で借主が除去費用にともなう工事費を正確に把握できないことが問題です。つまり将来確実に発生する資産の撤去や解体を含む「原状回復費」の適正価格見積を現在の価値に換算した金額で資産除去債務勘定を使って処理します。反対側の相手の勘定科目は、該当除去に係る有形固定資産の取得原価で処理します。
資産と負債を同時に計上する特殊な会計処理です。
資産除去債務の会計処理と割引率計算方法
- 資産除去債務を算定
- 資産除去債務に適応する除去費用を資産除去債務として負債に計上後当該負債の計上額と同額を有形固定資産の簿価額に加える会計処理
1)取得原価 | |
2)耐用年数 | |
3)定額法 | |
4)除去費用の見積額 | |
5)取得日 |
※もしよろしければ、上記表に記入してご相談ください。
資産除去債務(敷金・原状回復費用)会計処理 FAQ
賃貸借契約(特殊な賃貸借契約を除く)にかかわる原状回復費用の会計処理については、日本の賃貸では敷金を預託しているケースがほとんどです。敷金、原状回復費用は、下記のような簡便的な会計処理が認められています。
【前提条件】
借主と貸主は(貸主所有のビルのワンフロアー200 坪を賃貸した)借主は貸主に敷金(家賃の 12 カ月)を預託した場合
1)敷金 7,200万円 | 200 坪 × 3万円 × 家賃 × 12 カ月 |
2)使用期間5年 | 借主 |
原状回復費用見積 2000 万と(予測)使用期間 5 年で費用分配する。
敷金(現預金) | 7,200万円 |
賃貸借期末の会計処理(原状回復費用5年償却) | 2,000万円 |
費用(敷金償却) | 400万円 |
有形固定資産の取得(入居B工事とC工事) | ?
(B工事、C工事の内訳を開示していただきましたら、すぐに適正査定額を算出いたします) |
明け渡し時(退去時)の会計処理は、敷金と原状回復費用を負債資産に両計上すること。
資産除去債務(環境債務)
対象となる環境債務には、土壌汚染、アスベスト、PCBなどがある。
- 土壌汚染対策法 … 有害物質使用特定施設の廃止時の調査費用
- 地方自治体の環境条例 … 3,000m²以上の土地改変時の調査費用、有害物質を取り扱う特定施設の廃止時の調査費用
- 石綿障害予防規則 … アスベストを使用している建物解体時の除去・環境対策費用
- PCB特別措置法 … PCB含有機器等の処理・運搬費用
- 原状回復義務(原状回復費用) … 契約により原状回復が義務付けられている土壌汚染浄化費など
石綿(アスベスト)とは
石綿(アスベスト)は、天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で「せきめん」「いしわた」と呼ばれています。
その繊維が極めて細いため、研磨機、切断機などの施設での使用や飛散しやすい吹付け石綿などの除去等において所要の措置を行わないと石綿が飛散して人が 吸入してしまうおそれがあります。以前はビル等の建築工事において、保温断熱の目的で石綿を吹き付ける作業が行われていましたが、昭和50年に原則禁止さ れました。
その後も、スレート材、ブレーキライニングやブレーキパッド、防音材、断熱材、保温材などで使用されましたが、現在では、原則として製造等が禁止されています。参照先:「厚生労働省 アスベスト(石綿)に関するQ&A」より
PCB(ポリ塩化ビフェニル)とは
PCBとはPoly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称で、人工的に作られた、 主に油状の化学物質です。PCBの特徴として、水に溶けにくく、沸点が高い、熱で分解しにくい、不燃性、電気絶縁性が高いなど、化学的にも安定な性質を有することから、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など様々な用途で利用されていましたが、現在は製造・輸入ともに禁止されています。
土壌汚染除去(環境債務)
SDG s が国際ルールとしてスタンダードになった現在、土壌汚染除去は環境と直結適切な対応をすることは企業の社会的責任であり経営者の責務です。
OAP 土壌汚染事件
大阪北区アメニティパーク(OAP )敷地内でヒ素など重金属汚染が発覚。この事実を説明せず、マンション分譲販売した関係会社は、三菱地所、三菱地所住宅販売、三菱マティリアル不動産、三菱マティリアル、大林組であった。この事実は書類送検されたが、なぜか大阪地方検察庁は不起訴処分とした。この処分に改めて国土交通省、東京都は行政処分を下した。