トランプ関税の真の目的は?

2025.04.18

トランプ関税の真の目的は?

 

トランプは悪魔か、それとも神に選ばれし偉人か?

戦後80年、世界経済は混迷を深め、米中経済戦争は激化している。トランプ大統領は悪魔の破壊者であるのか?

世界のオールドメディアは、トランプ大統領の関税政策を連日昼夜を問わず報道し続けている。国際政治・国際経済アナリストは、狂気のトランプ大統領が国際秩序を破壊し、世界経済を奈落の底に突き落とす悪魔(Satan)であるかのように論評している。

4月2日に関税政策が発表されると、世界の株価は暴落し、ドルは売られ、米国債まで売却され、10年物長期国債金利は4.6%まで上昇した。まさにパニックである。

 

関税政策発表直後の混乱

  1. 株価は乱高下を繰り返し、500兆円規模の金融資産が吹き飛んだ。
  2. ドルは世界中で売られ、一瞬で円は152円から141円へと円高になった。
  3. 史上初めて米国債が売られ、米国債金利は4.6%まで上昇した。
  4. 原油や銅も値を下げ、金までも調整局面に入った。

 

これを見たトランプ大統領は、発表からわずか13時間後に国別関税政策の90日間停止を宣言した。ただし中国は例外とされ、米中間の関税報復戦争はますます過熱している。

なんと、中国に対する課税は145%にヒートアップした。中国UNIQLOのTシャツ2000円が、アメリカUNIQLOでは15,000円になるという。

100%を超える関税とは、すなわち「あなたは敵対国であり、貿易はしません」という、経済戦争の宣戦布告したのと同じである。

 

アメリカと中国の国旗

 

中国の反応と国内プロパガンダ

これに対して、中国報道官は「悪質な独裁大統領のいじめには屈しない」と、力強い言葉と態度で世界に向けて放送している。「関税戦争に勝者はいない」

一方で、国内向けには毛沢東の映像を昼夜問わず流し続け、愛国心を煽っている。この関税政策は、米国内の在米中国人コミュニティを破壊する。華僑・華人にとって、輸入原材料が6倍、7倍になれば商売は成立しない。アンダーなビジネス(フェンタニル、マネーロンダリング)、不法移民もはじき出される。

 

トランプは悪魔の破壊者なのか?

トランプ大統領は、常識も価値基準も異なる「悪魔の破壊者」なのか。

21世紀に入ってから、予測不能な経済不況はすでに二度発生している。ひとつは「100年に一度の不況」と言われたリーマンショック。アメリカ国債は世界の投資家に買われ、金利は4.0%から2.5%に下がった。もうひとつはコロナパンデミックである。一時は感染者が激増し、経済は甚大な被害を受けたが、それでもアメリカ国債は買われ、金利は1.5%から0.3%まで下落した。

 

今回は違う。アメリカが売られている

世界の投資家は、これまで不況になれば「ドル」と「アメリカ」を信用し、アメリカ国債を買いました。

しかし、今回のトランプ関税では真逆である。アメリカが「売られている」ことを意味する。

その原因は、未だ明確には解明されていない。「中国が米国債を売った」「農林中金が売った」「サウジアラビアも売った」などと、さまざまな憶測が飛び交っている。

私は、株価の暴落により投資家に追証が発生し、デフォルトを回避するために米国債が売られたと見ている。また中国の米国債売りもあると思う。おそらくトランプ政権も、想定を超える株価の暴落と米国債の売りを確認し、すみやかに90日間停止を宣言したものと思われる。

 

まさに経済は「生き物」であり、「神の見えざる手」で動いているのである。

 

トランプ大統領の熱き思いはMAGA

フランスの人口統計学者・人類学者・歴史学者であるエマニュエル・トッド博士は、著書『西洋の敗北』において、アメリカ依存によって自立を失った欧州(EU)、国家崩壊の先頭を走る英国連邦、フェミニズムが好戦主義を生んだ北欧、そして学歴だけのエスタブリッシュメントが情報・行政・軍事を操り、ドルを刷りまくるアメリカについて、厳しい批判をしている。また日米同盟のためにLGBTQ法を制定し、アメリカへの従属を自ら選んだ日本についても、辛辣な意見を述べている。

博士の分析によれば、幼児の死亡率が先進7か国の中で最も高い国はアメリカであり、これは不法移民の増加による貧困層の激増が原因であるとされている。特に興味深いのは、高等教育を受けたエスタブリッシュメント層ほど価値基準を喪失し、きれいごとを語る一方で行動が伴わず、エゴに走っていると断言している。その原因として、個人主義や核家族化によってキリスト教的価値基準を喪失したと分析している。

長子相続が多いドイツや、血族家族の絆が強いロシアなど、世界人口の約85%は血縁による家族主義である。一方で、米・英・仏の個人主義国家は、キリスト教的価値観を喪失し、著しく衰退していると述べている。

学歴だけのエスタブリッシュメントが情報・行政・軍事を掌握し、ドルを刷り続けるアメリカに対して、毅然と戦いを挑んだ大統領こそ、ドナルド・トランプなのかもしれない。彼の言う「ディープステート」とは、支配階級の利権にまみれたエスタブリッシュメント層を指している。

彼の大統領演説の冒頭にあった言葉は「レボリューション・オブ・コモンセンス(常識の革命)が始まる。コモンセンス(常識)こそがすべてだ」であり、常識の改革を掲げていた。関税90日停止を宣言した際には、「手術は終わった」と述べている。「アメリカ経済は今厳しいが、少し耐えれば豊かな未来が待っている。重税から解放される“リベレーション・デイ(解放記念日)”がやってくる」と、希望を語っている。

彼の目的はMAGA(Make America Great Again)であり、障壁となるものはすべて破壊するという不退転の姿勢をもつ大統領に見える。WTO、WHO、国際連合、さらにはグリーン政策も、障壁とみなせば脱退するという、凄まじい行動力である。

悪魔か偉人かは、その人物が何を目的として行動したかによって評価されるものであり、すべては結果によって歴史的評価が決まるのである。

 

トランプ関税政策簡潔に解説

米国と日本輸出入

米国が各国に課す関税

 

世界一の人口大国インド、アメリカンバイクのトップブランド「ハーレー・ダビッドソン」。インドからアメリカに輸出する際の関税は約3%、アメリカからインドに輸出する際の関税は約100%である。これでは関税が高すぎて、インド国内ではトップブランドのハーレー・ダビッドソンであっても売れない。

インドは自国のバイクメーカーを保護し、安い関税とメーカーへの補助金で外貨を稼いでいる。オイルは経済制裁で窮地に陥ったロシアからディスカウント価格で大量に購入し、漁夫の利を得ている。

日本の自動車は輸出入ともに関税がほとんど存在しない。アメ車が売れない原因は、日本市場に適していない点にある。燃費は悪く、サイズが大きすぎて立体駐車場に入らず、その上、故障も多い。日本ではアメ車は“ダメ車”という評価である。一方で、ドイツ車は高い人気を誇る。メルセデス・ベンツ、BMWは安定的に売れ続けている。

貿易赤字の原因として、日本の厳しい安全基準、車検制度が非関税障壁であると指摘されている。

手の内は見えている。はっきり言って「イチャモン」である。

それでも誠意をもって、タフに協議に臨むべきである。日本の対米投資額、米国債権保有額は世界一の同盟国である。

日本の急所は国防と農業である。台湾海峡有事は日本有事であり、当事者はアメリカではなく日本である。真の独立国とは、自国を自らの手で守る国のことである。

国防に弱点があれば、同盟国にサポートしてもらう。核保有国に囲まれている我が国において、非核三原則「持たず、作らず、持ち込ませず」を掲げたうえで、考えることすらせず、議論すらしない…現実を見ない、「お馬鹿非核五原則」である。

中立を宣言しているスイス、中立的立場をとり続けてきたスウェーデンやフィンランドも、NATOに加盟した。これらの国々では、男女ともに徴兵制度があり、国防予算もGDP比5%を予算化している。

ディール(交渉)とは、弱点を突き、強みをさらに磨き、強調することである。

オレンジの輸入自由化により、国産みかんはしたたかに生き残った。オレンジの3倍の価格であっても、国産みかんは売れ続けている。

対米貿易、国防のいずれにおいても、国家戦略を練り上げ、不退転の覚悟で協議に臨んでほしい。

幸運を祈願する。

 

【参照】

■U.S.-Japan Goods Trade (2024) @econovisuals

https://x.com/econovisuals/status/1892140560632434820

■ABC News

https://www.abc.net.au/news/2025-04-04/how-were-trumps-tariffs-calculated/105136808?utm_campaign=abc_news_web&utm_content=link&utm_medium=content_shared&utm_source=abc_news_web

 

トランプ大統領外交戦略は三本の矢―最終目標は「マー・ア・ラゴ合意」(21世紀のプラザ合意)

ホワイトハウス

 

4月2日(現地時間)、ホワイトハウスのローズガーデンに立ったドナルド・トランプ大統領の演説の第一声は、こうであった。

「アメリカの同胞たちよ、偉大なアメリカは敵国だけでなく友好国にも『略奪され、強奪され、蹂躙された』。クリントン、オバマ、バイデンによる民主党政権は、我々の税金を不公平な貿易、諜報、軍事政策により3,000兆円を超える国富をばら撒いた」

「本日より、国民を重税負担から解放し、予算を見直して削減額を返還する。今日はアメリカの歴史に残る開放の日(レベレーション・デイ)となり、歴史に刻まれることになる。」

トランプ大統領の大戦略は、以下の三本の矢から成る。

 

  1.  スリー・スリー・スリールール(3-3-3ルール):元ジョージ・ソロスの投資戦略責任者を務めた有能な投資家、スコット・ベッセント氏を財務長官に指名、J.D.バンス(J.D. Vance)氏を副大統領に指名
  2.  不公正な貿易の解消:地政学を考慮した透明で公正な貿易体制を構築し、アメリカの莫大な貿易赤字を正常化する。責任者は、経済学者・公共政策学者であり、レーガン元大統領の外交政策責任者であるピーター・ナヴァロ
  3.  米国債権・通貨政策:スティーブン・ミランが提唱する「グローバル貿易体制再構築ガイド」に基づく

 

この三点が複合的に絡み合う、三本の矢による大戦略である。

① スリー・スリー・スリールールの内容とは

  • 公的負債を毎年3%削減する
  • 規制緩和により経済を3%成長させ続ける
  • オイルを日量300万バーレル増産する

 

② 不公正な貿易の解消とは

すべての国に10%の関税を課し、地政学的立場に応じて同盟国・中立国・敵対国に分類する。同盟国とは、商品別の関税まで徹底的に協議し合意する。これは、地政学を貿易にまで拡張した理論である。

 

世界と貿易

 

「アメリカと協調するのか、中国の属国になるのか」という“踏み絵”である。曖昧さは許さない中立国とは、公正な相互主義に基づき貿易を行う。

すでにイスラエルを筆頭に75ヵ国がアメリカとの友好関係を希望しており、トップ会談の準備を進めている。台湾、タイ、ベトナム、インド、ブラジル、マレーシア、フィリピン、インドネシアといった華僑・華人の強い国々も、関税ゼロを主張し、相互主義の原則遵守をアメリカに伝えたと言われている。これにより、中国による迂回貿易は完全に止められる。

日本は、成長著しいアジアの同盟国である。本来であれば、EUと同様に20%からの協議である。
しかし、親中的姿勢を示す石破政権、民主党政権に隷属した岸田政権のもと、米中との貿易が対日貿易全体の4割を占めている現状において、曖昧な態度は許されず、正に“踏み絵”である。企業は中国からの撤退は、今後ますます加速していく。難しい局面にあるが、日本政府の英断を強く望む。

インド、ブラジルは大国であり、アメリカ陣営に引き込む戦略を粛々と実行していく。

EUに対しては既に釘を刺しており、NATOがロシアに対抗できる軍事力を持つまでには、最低でも5年を要する。4.5億人の人口を有し、経済規模でロシアの8倍を超えるEUであっても、アメリカ抜きでは経済も軍事力も賄えない。

統一見解・満場一致が原則のEUは、崩壊が目前に迫っている。仮に崩壊してもNATOは残る。

既にイタリアのメローニ、ドイツのための選択肢、フランスの国民連合、英国のリフォームUKは、オールドマスコミからは極右と言っているが、反グローバリズム、反EUでまとまっている。EUのデア・ライエンも、厳しい局面に直面している。

最終的には、民主主義国家としてアメリカ陣営に参加すると思われる。

敵対国・中国に対しては、徹底的に瞬時に報復関税を課し、戦い抜く非常事態・不退転の戦略である。迂回貿易を塞ぎ、越境ECもシャットアウトする。アメリカ陣営にある敵対国資産は、いつでも差押えが可能である。ロシアはG7に参加させ、中露の仲を裂く。現在差押えている58兆円の資産も、経済制裁も、即時解除が可能である。

覇権社会主義国家・中国版「※ハル・ノート」ともいえる。厳しく、長い戦いとなるであろう。これは、社会主義体制崩壊の始まりかもしれない。

大外交政策の羅針盤は、関税・通貨・軍事までを組み合わせたミラン論文ダイジェスト「グローバルな貿易・金融システム再構築政策」である。かなり強引ではあるが、実現可能な政策と考えられ、データも根拠も明快に記載されている。

 

※ハル・ノート(Hull Note)とは、1941年11月26日にアメリカ合衆国が日本に提示した外交文書の通称で、正式には「日米交渉のアメリカ側最終提案」*である。第二次世界大戦開戦直前の日米間の外交交渉において、戦争回避の最後の局面で登場した歴史的文書であり、日本が「最後通牒」と受け取ったことから、太平洋戦争(真珠湾攻撃)への直接的な引き金になったとされる。

 

マー・ア・ラゴ合意(Mar-a-Lago Accord)とは

トランプ大統領の私的別邸である「マー・ア・ラゴ」は、歴史ある風光明媚な別荘地である。全世界の超富裕層が別荘を構えるフロリダ州の最高級別荘地に位置する。この別荘に、トランプ政権の重要メンバー及びアメリカの影響力ある経営者たちが集い、今後の世界の未来を語り合った。これが「マー・ア・ラゴ合意」と呼ばれている。

戦後、1971年にニクソン大統領は突然、ドルと金の交換停止を宣言した(ドル危機)。双子の赤字とベトナム戦争による戦費負担が膨れ上がったことを契機に、日米貿易摩擦は激しさを増し、アメリカの対日貿易赤字は全体の5割を超えた。

ソ連との冷戦も激しさを増し、アメリカの負債は膨れ上がり、レーガン大統領は大転換の経済政策を決行した。金とドルを切り離し、ミルトン・フリードマンが提唱する新自由主義へと舵を切った。それが1985年のプラザ合意である。

1ドル360円の固定相場は変動制になり、先進国はすべてアメリカの意向を受けてドル売りを行った。レーガン大統領は大幅な規制緩和と軍備増強を実施し、アメリカドルは自由化で下落、結果的に100円台まで下がった。アメリカの負債は三分の一になり、ソ連は軍備増強についていけず、社会主義体制の改革もできず、崩壊した。

この時も、貿易赤字・関税・通貨戦略・軍事力を含めた複合戦略でした。すなわち「オイルとドルの信用創造」「同盟国によるソ連の孤立化」戦略である。社会主義の大帝国は血を流し、のたうち回り、1991年に崩壊した。

 

今回の「マー・ア・ラゴ合意」は、生成AIまでを含めた「デジタル金融複合体」によって、アメリカの情報予算を洗い出し、費用対効果を算出する計画である。DOGE(省庁改革)においては、Twitter社の再建手法と同様、まず予算を停止し、退職者を募り、ハブとなる人材を高報酬で残す。問題が発生すれば、その行政部門の予算だけを新たに予算付けし、重要人材を復活させる。

今回もドルの通貨安とアメリカ一強体制の見直しにより、同盟国を含めた「信用創造」までを視野に入れている。アメリカのドル基軸体制は、同盟国の信用を借りて維持されていく。アメリカ国債の流動化はその象徴であり、アメリカ国債は金融システムの「コラテラル(担保)」として広く深く組み込まれている。これをすべて市場から引き上げ、ゼロ金利の100年国債に切り替えることは、アメリカおよび同盟国連合にとっても非常に厳しい選択である。

しかし意外なことに、米国債の海外保有率は25%しかない。中国が保有する米国債は、わずか2%程度である。今後の米中覇権争いの行方から目を離すことはできない。

 

【参考文献】

・エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)著『西洋の敗北』、藤原書店、2023年

・スティーブン・ミラン(Stephen Millan)「グローバルな貿易・金融システム再構築に向けた政策手段」、経済政策研究論文、2024年発表

 

 

以下のトランプ関税解説は、一般的な経済アナリストによる意見の要約である。

 

トランプ関税ショック―世界経済を揺るがした激動の一週間

貿易戦争

 

2025年4月初旬、世界経済は再び激震に見舞われた。米国のドナルド・トランプ大統領が突如として全世界の輸入品に対する大規模な関税措置を発表し、国際貿易秩序に大きな混乱をもたらしたのである。この措置は「解放の日」と銘打たれ、トランプ政権が掲げる「アメリカ・ファースト」の政策を強調したものだったが、世界中の市場や経済関係者は即座に深刻な懸念を示した。トランプ大統領の決定は米国だけでなく、欧州、アジア、北米諸国に広がる貿易関係を混乱させ、世界各国が自国経済の防衛策を迫られることになった。特に、中国との関税戦争は急速に激化し、両国間の経済的な分断が進むことになった。この一週間は市場の歴史的な変動を伴い、世界経済は再び不確実性の渦中に引きずり込まれることとなった。

トランプ大統領の包括的関税発表

トランプ大統領は2025年4月2日、ホワイトハウスのローズガーデンで「解放の日」と名付けた演説を行い、全世界からの輸入品に対する普遍的な関税導入を発表した。この政策の特徴は、すべての輸入品に一律10%の関税を課すと同時に、相手国が米国に課している関税率に応じて追加的な相互関税を適用するというものである。財務長官は、この措置はアメリカの貿易赤字を是正し、国内産業を守る目的であると説明した。しかし、この決定は世界中の市場に大きなショックを与え、特に米中間の貿易摩擦を一段と激化させた。大統領はこの措置が米国経済の活性化につながると強調したが、市場はその発表直後から混乱を示し、世界経済への懸念が急激に広がった。

世界各国の即座の反応と対応

トランプ大統領の関税発表に対して各国は即座に反応を示した。カナダ政府は、CUSMA非準拠の米国製輸入車両に25%の関税を課すことを発表し、さらに既存の報復関税も継続すると表明した。メキシコは相互関税の適用について冷静な態度を取り、自国が米国に関税を課していないため米国も同様にメキシコへ関税を課さないとの理解を示した。中国政府は米国の政策を誤りと非難し、貿易戦争には勝者がいないことを強調した。EUとアイルランドは経済的ダメージや物価上昇を懸念し、深刻な遺憾の意を示した。ニュージーランドやドイツを含む他の多くの国々も自由貿易を支持する立場を表明し、米国の措置に強く反対した。日本政府もWTO協定および日米貿易協定との整合性に重大な問題があるとして、アメリカの一方的措置に対する深刻な懸念を示した。

中国との関税戦争の激化と経済への影響

米中間の貿易摩擦は激化の一途をたどった。トランプ大統領は中国製品への関税を145%まで引き上げ、中国が報復措置を講じた場合にはさらに関税を引き上げると警告した。関税引き上げに伴い、ベーシックファンのCEOは中国からの輸入を完全停止することを決定した。また、玩具業界の専門家は、中国製玩具への依存が高いため今年のクリスマス商戦で深刻な商品不足が起こる可能性を指摘した。ナイキなどのアパレル企業も影響を受け、履物や衣料品価格が大幅に上昇したほか、自動車部品価格も短期間で急騰した。さらに、TemuやSheinなどの電子商取引企業が利用してきた関税回避の抜け穴も閉鎖され、経済的分断が一層深まる懸念が高まった。

世界市場の激しい変動と経済不安

関税政策発表後、ウォール街は歴史的なボラティリティを記録し、市場が約2700ポイントという前例のない変動を見せた。これは日中取引で約7%の変動に相当し、市場の底を探る投資家心理が顕著となった。トランプ大統領は矛盾したメッセージを発し、市場は混乱を深めた。消費者製品への影響も大きく、電子機器や衣料品を中心に大幅な価格上昇が見込まれ、中国製品にかかる関税が104%にまで達する可能性も報告された。専門家はスタグフレーションのリスクを指摘し、関税措置が継続されれば米国経済が景気後退に陥る可能性が高いと警告している。

政策転換と関税の一部停止措置

トランプ大統領は、米国に対し報復措置を取っていない75カ国以上からの輸入品への関税を90日間停止し、一律10%に引き下げると発表した。中国は除外され、関税率は125%が維持された。財務長官は、この措置は各国との交渉時間を確保するためのものであり、大統領が直接関与を希望していることを強調した。この決定を受け市場は急回復を見せ、ダウ平均は3000ポイント、S&P指数は9%、ナスダック指数は12%の上昇を記録した。交渉を望む国々の間で動きが活発化し、日本や韓国などが米国との交渉に向けて代表団を派遣したと報じられている。

残された課題と世界経済の行方

関税政策の衝撃が一時的に和らいだとはいえ、根本的な貿易問題は未解決のままだ。関税の長期化は世界経済の不況リスクを高めると指摘されている。各国が協調路線を模索する一方、米国の経済的孤立が進む懸念もある。今後、国際的な調整能力が問われる局面となりそうだ。

 

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。貴店および貴社の成功を心より祈願いたします。

 

萩原大巳

萩原 大巳 (Hiromi Hagiwara)

一般社団法人RCAA協会 理事
【協会会員】株式会社スリーエー・コーポレーション 代表取締役CEO

  • ワークプレイスストラテジスト
  • ファシリティプロジェクトマネージャー

オフィス移転アドバイザーとしての実績は、600社を超える。原状回復・B工事の問題点を日経セミナーで講演をする。日々、オフィス・店舗統廃合の相談を受けている。オフィス移転業界では、「ミスター原状回復」と呼ばれている。