大国・中国社会主義市場経済の崩壊

2024.06.29

大国・中国社会主義市場経済の崩壊

2024年6月の中国情勢「邦人への警告と経済危機」

2024年6月、日本大使館は在中国邦人に対し、外出時に周囲の状況に十分注意するよう勧告を発表しました。同じ月、中国外務省は異例のコメントを出し、靖国神社を冒涜したインフルエンサーに対し、節度ある行動を求めるとともに、日本国民にも理性的な発言と行動を要請しました。

 

中国経済は不動産バブルの崩壊によって、シャドーバンキングセクターも深刻な危機に直面しています。中融信託は破産し、21兆円の資産のうち8割が不良債権となっています。外貨対中投資は前年比82%減少し、外資系企業も次々と撤退しています。2023年には外資系企業の22%が中国から撤退し、2024年もその傾向は続いています。

 

中国本土からは、上海、香港から多くの富裕層がグレートエスケープしており、その数は500万人を超えるとされています。実際の人数はさらに多く、5,000万人以上(留学生、永住権取得を含む)との分析もあります。これにより、海外に住む華僑華人は8,000万人に達し、1億3,000万人が国際経済に大きな影響を与えています。

 

日本への影響

中国資本による東京の不動産市場の現状

東京で行われた2億円以上の高級タワーマンションの見学会では、28組の内見者のうち25組が中国資本と見られました。このような投資目的の空室が多いタワーマンションは、将来的にスラム化するリスクがあります。

 

晴海のオリンピック選手村にあるマンション「晴海フラッグ」では、一社が5物件から10物件を日本の中小不動産業者がキャッシュで購入しています。売却後の追跡調査(フォロー ザ マネー)によると、転売され、一部は中国版のAirbnb(民泊)を活用して投資資金を回収していることが判明しました。決済はすでにシンガポールやドバイの中華系プラットフォームを利用してキャッシュレスで完了しています。

 

観光地では、案内車や通訳、お土産店もすべてキャッシュレス決済が導入されています。このような変化に対応し、日本に在住する中国人留学生たちも多くの収益を上げています。

 

デジタル化社会では、国境や日本の法律が適用されない部分が増えており、これが新たなデジタル社会の現実です。

 

再生可能エネルギー推進と中国製太陽光パネル

再生可能エネルギーの推進に伴い、日本国内で設置される太陽光パネルのほとんどが中国製です。この動きにより、日本各地で山や森、水田、原野が買収され、太陽光発電事業が展開されています。

 

これらの自然環境は、元々自然のダムや浄水の仕組みを担っており、重要なエコシステムを形成しています。しかし、太陽光発電のために土地が売買されることで、日本の自然環境が脅かされています。既に北海道だけで、静岡県の面積に相当する土地が買われました。釧路湿原や知床国立公園といった自然世界遺産もその影響を受けています。これらの地域は水源として重要な役割を果たしていますが、中国の水道水が飲料水として利用できない現状とは対照的です。

 

日本の限界集落で進む神社仏閣の買収

限界集落にある神社や仏閣が、経済的な困窮により次々と買収されています。これらの神社仏閣は、神仏習合の自然信仰を象徴する場所であり、森や湧水などの神聖な領域を持つことが特徴です。

 

日本と同様に、中国でも少子高齢化が深刻な社会問題となっています。その結果、墓地の需要が高まり、神聖な宿泊施設としても人気が高まることが予想されます。これらの神聖な場所は、中国のランドパワーの人々にとって非常に価値のあるものと見なされています。

 

さらに、税制の優遇措置を受けることで、理事の変更や壇家の増員が容易に行えます。これにより、永住権の取得を目指す中国の富裕層にとって非常に魅力的な仕組みとなっています。

 

中国の不動産バブル崩壊への対応策なし

中国のGDPの約30%を占める不動産バブルが崩壊し、状況は悪化の一途をたどっています。この不動産バブルの規模は3,000兆円にも及び、史上最大のものとされています。主要デベロッパーである恒大集団や碧桂園は次々と債務不履行を起こしており、自力での再生はもはや不可能な状態です。この不良債権は大手国営銀行や地方政府にまで広がり、経済全体に深刻な影響を及ぼしています。

 

需要を喚起するためには、大胆な金融緩和が必要ですが、金利を下げることは大手国営銀行の経営を圧迫します。現在の中国の最優遇金利は3.85%であり、これでは物価高騰対策としても十分ではありません。国家統制と国家安全が最優先される中、経済政策は後回しにされており、失業者やローン返済に苦しむ人々に対する具体的な救済策は見られません。このように、経済と政治の矛盾が明らかとなり、国家統制による社会主義市場経済は崩壊の危機に瀕しています。

 

上海の崩壊「人災による大都市の凋落」

上海の崩壊「人災による大都市の凋落」

上海は2500万人を擁する大国際都市であり、その崩壊は人災によるものです。もはや回復は不可能と見られています。

 

奇跡の発展から絶望へ

1978年末、鄧小平が打ち出した「改革開放政策」により、上海は驚異的な発展を遂げました。2015年には上海株式市場が世界第3位に成長し、都市のGDPは国内で圧倒的な1位となりました。35年間でGDPは44倍に、住宅価格は500%から550%に上昇し、上海はアジアの海運ハブとして世界トップの貨物取扱実績を誇っていました。この成功により、上海市民は自分たちが中国を牽引しているという誇りを持つようになり、「上海人」として他の中国人を見下す傾向さえありました。

 

ゼロコロナ政策の影響

しかし、突如として導入されたゼロコロナ政策により、毎日のPCR検査や抗原検査が義務付けられ、住宅やスーパーマーケットは閉鎖されました。食料や水は配給され、数十万人の医療従事者が動員された結果、病院は医療崩壊を起こし、経済は2ヶ月間完全に停止しました。この影響で、中小企業は次々と倒産し、店舗も閉鎖され、上海は死の町と化しました。

 

長期ロックダウンの謎

他の大都市では3日程度のロックダウンだったにも関わらず、なぜ上海だけが2ヶ月のロックダウンを強いられたのかについて、SNSでは様々な憶測が飛び交っています。「傅政華(フ・セイカ)」のクーデター計画が発覚し、1万人以上の重装備の軍人が医療従事者に紛れ込んで上海に入り、町には戦車や装甲車が配置されました。この騒動の中で、上海閥の関係者は次々と逮捕され、隔離されました。

 

破壊された日常

ゼロコロナ政策が市民の猛烈な抗議で終焉を迎えた後も、現在の上海では空調や照明が制限され、エスカレーターも動かず、人通りはまばらです。ショッピングセンターの店舗はシャッターが閉まり、摩天楼と呼ばれた上海の面影は消え去りました。不動産バブルの影響でゴースト高層マンションは劣化し、農民工の仕事はなくなり、違法建築物は次々と解体されました。その結果、ホームレスの農民工が急増しています。

 

SNSでは「上海の崩壊は人災」との嘆きが広がり、情報統制が困難な時代に突入しました。中国国内のSNSで削除される情報も、海外のSNSでは制御不可能です。「上海の崩壊は人災…もはや回復不能」との声が溢れています。

 

上海不動産賃貸FAQの大異変

 

上海不動産賃貸FAQの大異変

コロナ後、上海の不動産賃貸に関するFAQには以下のような質問が多く寄せられています。

 

Q1. 会社の撤退に伴い住まいを明け渡すことになりました。誰に相談したら良いですか?

トラブルは絶対に回避してください。できればお勤めの会社の顧問弁護士に依頼するのが最善です。上海の慣例や法律に詳しい現役の顧問弁護士がベストです。

 

次におすすめの専門家は、お住まいの物件を紹介してくれた不動産業の専門家です。このような専門家に任せるのが良いと思います。

 

Q2. オフィスと住まいを明け渡すことになりました。損耗の復旧が原状回復義務と契約書に明記されていますが、一般的な相場より非常に高額です。どのように対応すればよいですか?

現在、ビルオーナーも厳しい状況にあります。家賃相場は平均で2割下落し、空室率も21.8%に上昇しています。また、ビル売却の価格もコロナ前と比べて3割引でも売れない状況です。

 

そのため、ビルオーナーもローンの支払いに苦しんでいると思われます。多少の値引きを交渉することよりも、迅速に明け渡しを実行することを優先してください。

 

Q3. オフィス閉鎖により日本に帰ることになりました。解約の申し出を相談したら、三年間は解約不可能と言われました。

これは定期建物賃貸借契約の可能性が高いです。この契約では、賃借期間が定められており、期日終了の際には再契約を締結することが義務付けられている米英スタイルの賃貸借契約です。

 

明け渡しても、期日満了日まではビルオーナーに家賃の請求権があります。詳細については、御社の顧問弁護士に賃貸借契約のチェックを依頼してください。

 

Q4. 最近の家賃相場を見ていると、家賃が安いと思います。対策を教えてください。

上海では英国スタイルのアグリーメント(賃貸契約)が多く見られます。通常、契約期間内での家賃の減額は難しいと考えられます。以下の手順を参考にしてください:

 

代理人に依頼する:家賃の適正相場を把握するために、不動産の専門家や代理人に相談してください。

真摯な話し合い:代理人を通じて、家賃の適正化についてオーナーと真摯に話し合ってください。

譲歩が得られない場合:もし譲歩が得られない場合は、すみやかに明け渡しを行い、引越しを検討するのが良い選択です。

この方法を取ることで、最適な対応ができるでしょう。

 

Q5. ビルオーナーに賃貸契約の預託金3ヶ月分を積みました。解約を申し出たら、損耗の復旧(リペアー)で家賃の約4ヶ月分、日本円で240万円を請求されました。

トラブル(裁判)は絶対に回避してください。

 

代理人弁護士に依頼して、200万円程度で円満に合意できるのがベストです。3ヶ月分の預託金があるため、20万円の持ち出しと弁護士料の負担が発生しますが、それが最良の選択です。私が当事者であれば、専門家の立会いをお願いし、1割値引きを求めて円満合意とします。

 

執筆者コメント

世界経済は混迷を深め、移民問題が先進国共通の最大の課題となっています。中国人富裕層と中華華人の動向が日本経済に大きな影響を与えています。この資金力と活力を上手く活用することが求められます。既に「サヨナラ中国、コンニチワ東京」が始まっています。

 

萩原大巳

萩原 大巳 (Hiromi Hagiwara)

一般社団法人RCAA協会 理事
【協会会員】株式会社スリーエー・コーポレーション 代表取締役CEO

  • ワークプレイスストラテジスト
  • ファシリティプロジェクトマネージャー

オフィス移転アドバイザーとしての実績は、600社を超える。原状回復・B工事の問題点を日経セミナーで講演をする。日々、オフィス・店舗統廃合の相談を受けている。オフィス移転業界では、「ミスター原状回復」と呼ばれている。