「B工事」「原状回復」が明文化され、そのうえ「ビルオーナー指定」なのは日本だけ!
「B工事.com」「原状回復費.com」を開設したワケは、B工事・原状回復の工事費高騰問題、スクラップ&ビルドの硬直したオフィス移転問題など、これらの問題をクローズアップし、なおかつ、クライアントのため、社会のため、我が国のため、現実に起こった事実を拡散しようと思ったからです。
士業連携により課題解決に挑戦した建築士、宅建士、設備士、弁護士、会計士など、できる限り実名で事実を紹介し、争点を解説したサイトになっております。
ライフワークスタイルが激変し、オフィスは「集約」から「分散」に向かっている今こそ、Newワークプレイスを共創しましょう。世界から人・物・金・情報が集まる、そんな働く「場」、Newワークプレイスを目指して!
下記、はぎわらひろみ/noteも参考にぜひ読んでください。
世界の都市「オフィス内装工事費ランキング」に見る東京・大阪・名古屋の工事費高騰問題の原因
東京の内装工事費用は、坪/773,509円、大阪は750,211円、名古屋は731,572円です。
東京に300坪の本社を構えると、内装工事費用だけで、なんと2億3200万を超えます。そのうえ敷金は家賃の12倍、坪30,000円としても1億800万円です。原状回復、引越し、廃棄工事まで入れると、オフィス移転実行予算は4億円を超えるのです。
アジア太平洋地域で内装工事費が最も高額な都市は、3年連続で日本の三大都市になりました。
【参照先】クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド2022/3/18 (https://www.cushmanwakefield.com/ja-jp/japan/news/2022/03/apac-fit-out-cost-guide-2022)
上記をみると、世界の都市のオフィス内装工事で工事費が高い都市ベスト3は、「東京」「大阪」「名古屋」なのです。
これはB工事、入居工事(原状変更工事・原状回復)のオーナー指定による弊害によるものです。
この原因は3事項に集約されます。
- ビルオーナー指定(貸主指定)以外施工不可、という独占的地位により工事費の競争原理が作用しない。そのための「B工事」「原状回復費」の工事費高騰問題。
- 重層請負構造によるコストの積み上がり、という一式請負体制の問題点
これは、ビルのメンテナンス業者、電気、空調換気、防災、機械設備その他設備業者の上にビルを建設したゼネコンが元請となる一式請負スタイルです。それに貸主、[1]AM、[2]PM、[3]BMのビル運営業者(以下、ビル側という)の費用がコストオンされます。元請も、メンテタンス業者も、ビル側も、全て大手上場会社であり、下請けとして中堅、中小、技能工(専門職人)による一次、二次、三次、四次の重層請負構造となっています。
[1] AM…アセットマネジメント(資産管理業務)
[2] PM…プロパティマネジメント(運営・管理業務)
[3] BM…ビルマネジメント(物件自体の管理業務) - 転貸借禁止により、企業の成長ステージでおこなわれるオフィス移転が「B+C工事」(入居工事、原状変更工事)と「原状回復工事」を繰り返すスクラップ&ビルドのオフィス移転であるという弊害。
結果として、オフィス移転に総額に占める移転先B工事、移転元原状回復費は、なんと5割を超えます。
「Newワークプレイスを創造し、人が集う、行きたくなる、偶発的会話を通してイノベーションが生まれる、そんな最新のハイブリットスタイルのワークプレイスを創りたかったのに‼︎」
予算不足により、そんな相談が増えています。
この問題の課題解決は、実績に裏付けられた「B工事」「原状回復費」の適正査定、適正工事費用発注しかありません。
※下記も参考にぜひ読んでください。
世界のオフィスの内装工事には、厳格な「B工事」「原状回復」「独占的な指定業者」はない。
グローバルスタンダードによるワークプレイスで人・物・金・情報が集まるワークプレイスを目指す!
【参考資料1】
【参考資料2】
グローバルデベロッパーであるC&W(本社イリノイ州シカゴ)のアジア太平洋地域責任者トム・ギブソン氏は、オフィス改変に伴うコストについて、「建物に紐付いた指定工事会社による「B工事」「原状回復工事」がオフィス移転内装工事費の高い理由である」と喝破しています。
そのうえで、コストを含め環境に優しいだけではなく、スタッフやステークホルダー全員にとって働きやすい、生産性向上のスペース提供のため、クライアントにプロジェクト&デベロッパプメントサービスを提供していく、と力強く語っています。
アジア太平洋地域のGDPは、世界最大です。2030年には世界のGDPに占める割合は6割をはるかに超えると予想されています。
アジアのヘッドクウォーター「本部」は、シンガポール・ムンバイ・デリー・香港・深圳・上海・ソウルそして世界一の都市GDPを誇る国際都市「東京」です。
どの都市にヘッドクウォーターを置くかにより国力が大きく左右されます。FAGAMは、全て東京にアジアの本部を構えています。
残念ながら金融のハブは、香港、シンガポールに取られ、民主化を求める香港のカントリーリスク、なかでも外銀、金融会社はアジア太平洋の本部を東京に移転しません。
次の時代の経済を担うユニコーンは430社を超えます。この有望企業に、アジア太平洋地域のヘッドクウォーターを東京に構えてほしいと切に願っています。
ユニコーン企業は全てグローバルスタンダードが基準です。コストも全て可視化し、費用対効果を基準に置きます。会計基準はIFRS(国際会計基準)、資産除去債務まで当たり前にやります。個人情報保護はGDPR[1]、環境対応はSDGs、投資はESG[2]基準となります。
米・英・EUは契約社会です。ワークプレイスも、デザインはテナントでやり、内装工事は設備を含め貸主が行うケースが多いです。当然、家賃プラス内装工事費が家賃の総額コストとなります。そのコストに対してリターンがどれだけあるか「レントロール[3]」が全ての基準です。
約束した期間は解約できません。中途解約のペナルティもあります。そのリスクコントロールのため、サブリースを活用しています。それゆえ、米・英・EUについては工事費比較が難しいのが現実です。
日本も、入居工事(原状変更工事)、原状回復を企業の成長ステージで繰り返すスクラップ&ビルドのオフィス移転から、自由で選択肢の多いオフィス移転に転換するよい機会です。
[1] GDPR…(General Data Protection Regulation)EUにおける「個人情報保護のための規則」
[2] ESG…「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」の3つの単語の頭文字を取った略語
[3] レントロール…対象となる物件の、住戸ごとの契約情報を一覧化した表のこと
建築コストの高騰が確実に起こる近未来 工事費は高く労務費は安い東京
ウッドショック、鋼材費、石油・LPガス高騰、建設職人の高齢化、リタイヤに伴う労働者不足。
世界は、インフレによる物価高に適応しようと官民挙げて協力しています。我が国は、そのうえ1ドル130円を超える円安です。確実に資源の買い負けが始まります。
世界のプロジェクトで、建築費が高いNo.1は、ロンドン新築工事費の坪単価142万円、ベスト5は、NY、チューリッヒ(スイス)、香港、コペンハーゲン(デンマーク)、日本の東京は6番目の坪/114万円です。
世界62か国で建設費が最も高い水準なのは!?-佐藤隆良の海外建設市場シリーズ(1)-建設費編
【参照先】アーキブック コラム(https://archi-book.com/news/detail/94)
世界の建築労務費比比較では、日本は19.8千円、アメリカ61.4千円、なんと3分の1以下です。
アメリカ、スイス、オーストラリア、カナダ、ドイツ、イギリス、オランダ、どこも成熟した民主国家です。
我が国の労務費より平均5割ほど高額な労務費です。
世界の建設市場における労務費を比べてみる!-佐藤隆良の海外建設市場シリーズ(2)-労務費編
【参照先】アーキブック コラム(https://archi-book.com/news/detail/95)
「オフィス移転の工事費は世界一高いのに、建設職人の労務費は安い日本」という事になります。1ドル130円で換算すると、同じ仕事をしても給料は6割安いことになります。
全てを可視化し、中抜きコンストラクションのフレームワークを変えることが必要です。幸い日本のゼネコンの総合管理能力は高いです。TQCもシステム化されています。技能工の質も高いです。技術の継承は待ったなし、新陳代謝です。世界から若い人が集まり、一芸を身につけて活躍できる我が国にしたいと切に願います。
※下記も参考にぜひ読んでください。
◆RCAAチャンネル◆
萩原 大巳 (Hiromi Hagiwara)
一般社団法人RCAA協会 理事長
オフィス移転アドバイザーとしての実績は、600社を超える。原状回復・B工事の問題点を日経セミナーで講演をする。日々、オフィス・店舗統廃合の相談を受けている。オフィス移転業界では、「ミスター原状回復」と呼ばれている。 |