「原状回復費」敷金では不足。その原状回復費は、本当に適正ですか?

2020.10.06

今!原状回復をめぐる敷金返還トラブルが急増しています

9月25日発行された日本経済新聞で下記のような記事が取り上げられた。日本経済新聞の読者の方は、今一度思い出していただきたい。
記事にあるように、当協会においても「原状回復費が高くて困っている。見積もりが適正なのか査定していただきたい」という問い合わせが殺到しているのが現状だ。
新型コロナウィルス感染の影響でやむなく店舗閉鎖をせざる得ないオーナーにとって、原状回復費の過剰な請求は死活問題である。
払わなく てもよいお金を払わなくてはいけない…そのようなことがあってもよいのだろうか。
一般の人々(賃借人)が原状回復工事の見積書、賃貸借契約書、図面等を読んでそれらを理解することは不可能と思われる。

だからこそ、当協会のような現場経験があり、知識も豊富な有資格者が多数在籍していることがとても重要になってくる。
当協会の会員は、実績数、削減率も日本一である。安心してご相談ください。

誰もいないオフィス

※(画像)一般社団法人RCAA協会会員「株式会社スリーエー・コーポレーション」に原状回復適正査定を依頼されたクライアント先のオフィス

私たち原状回復適正査定員の視点でさらに詳しく説明していこう。

「原状回復」費の過剰請求多発 閉鎖のオフィス・店舗

新型コロナウイルス感染の長期化でオフィス縮小や店舗閉鎖が相次ぐなか、退去時に支払う「原状回復」費用を過剰請求されるケースが多発している。オーナーが施工業者を指定するのが慣例で競争原理が働かず、適正金額より3~6割高く請求されることがある。第三者による査定が重要だ。「こんなに高いのか」。ネット関連のスタートアップは、東京・品川にあるオフィスを9月末で解約すると決めた。原則在宅勤務にしたことで、月数百万円の家賃や光熱費が無駄となった。するとオーナーから1200万円の原状回復費用を言い渡された。

出所:「 2020/9/5 23:00 日経電子版」 一部抜粋

原状回復費用が高い理由は?

  1. 賃借人オフィスのコロナ禍影響のテレワーク化により、オフィス面積を縮小してしまうため建物の空室率が高くなり、賃貸人収入が減少してしまう。それを少しでも補うための手段として原状回復費より収入を得ようとする。
  2. 賃貸人は原状回復指定業者を大手ゼネコンとし、無駄な安心感と信用を得ようと「仮設工事が命」といまだに叫んでいる高額ゼネコンに依頼しているため。
  3. 何かと夜間土日の作業として、過保護的な近隣対策をしている。
堀田 猛 堀田 猛 (Takeshi Hotta)

一般社団法人RCAA協会 理事
【協会会員】株式会社スリーエー・コーポレーション 執行役員

  • 原状回復・B工事査定員
  • 宅地建物取引士
  • 商業施設アドバイザー

サイバーエージェントグループなどの原状回復、B工事の専任アドバイザーとして、オフィス移転の多数実績を有する。
IT業界のプラットフォーマーである株式会社スカラ、株式会社じげん、株式会社ブロードバンドタワーなどオフィス移転アドバイザーを多数社務めている。

「原状回復」費の過剰請求多発 閉鎖のオフィス・店舗

個人がマンションなどを借りる場合でも原状回復義務はあり、敷金を巡るトラブルは多い。だが民間賃貸住宅の原状回復については、国土交通省が「借りた時の状態に戻すことではなく、経年変化は家賃に含まれている」「フローリングのワックスは賃貸人負担」などとガイドラインを規定。「強制力はないが、消費者保護の意味合いがある」(同省住宅局)

出所:「 2020/9/5 23:00 日経電子版」 一部抜粋

住宅物件は、生活空間として無くてはならない空間。その内装は、人が住むことによって自然と汚れや劣化が生じ、これを「通常損耗」や「経年劣化」と言う。住宅物件における原状回復とは、「通常損耗」や「経年劣化」を除いた、故意や過失によって生じた汚損や破損(特別損耗)を修復する義務がある。特別損耗の回復で修繕修復が不可能な場合、新規取り換えになる。その際、法定償却を考慮に入れ、残存価値を算出し、その上で賃貸人、賃借人の特別損耗の負担金を話し合うことが必要である。

賃貸住宅の場合は、「再改訂版 賃貸住宅の原状回復をめぐるトラブル事例とガイドライン 編著//(財)不動産適正取引推進機構 出版社:大成出版社」を参考するとよいでしょう。

山田貴人 山田 貴人 (Takahito Yamada)

一般社団法人RCAA協会会員
株式会社スリーエー・コーポレーション

  • 原状回復・B工事査定員
  • リサーチャー
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)担当

「原状回復」費の過剰請求多発 閉鎖のオフィス・店舗

過剰請求の背景にあるのが、オーナーや管理会社による施工業者の固定化だ。特定業者に任せれば、管理に手間がかからない。半面、原状回復の工事費に競争原理が働かず、言い値で決まりがちだ。ある工事関係者は「『ビル全体の工事を任せるから安くしてくれ』と言われ、オーナーが費用負担するロビーなどの共用部は赤字ギリギリで発注される。代わりにテナント部分の工事で水増しする」と話す。

出所:「 2020/9/5 23:00 日経電子版」 一部抜粋

施工業者の固定化(指定業者制度)

指定業者とは、本来入居テナントに「安心」、「安全」、「快適」を提供する目的で独占的な優先権が認められる制度である。日本のBM(ビルマネジメント)は清掃が行届き、電気その他設備管理の質も高い。しかし独占的地位を利用し、施主であるテナントに法外な費用の原状回復費を請求することは、問題のある行為である。テナントは、信憑性の厚い原状回復・B工事査定会社に原状回復範囲、工事内容を可視化し、適正査定費用で原状回復費用を発注することは正当な権利の行使である。

萩原大巳 萩原 大巳 (Hiromi Hagiwara)

一般社団法人RCAA協会 理事長
【協会会員】株式会社スリーエー・コーポレーション 代表取締役CEO

  • ワークプレイスストラテジスト
  • ファシリティプロジェクトマネージャー

オフィス移転アドバイザーとしての実績は、600社を超える。原状回復・B工事の問題点を日経セミナーで講演をする。日々、オフィス・店舗統廃合の相談を受けている。オフィス移転業界では、「ミスター原状回復」と呼ばれている。

原状回復内容可視化が絶対条件

第三者による査定(原状回復適正査定)

査定とは、下記5つのことを明確にすることです。

  1. その工事範囲は適正ですか?
  2. オフィスの工事区分は適正ですか?
  3. 修繕修復方法は、適正ですか?(回復方法:特別損耗対応)
  4. 施工面積は、適正ですか?
  5. 原状回復の根拠図書により可視化していますか?

 

上記の「第三者による査定(原状回復適正査定)」の5つの事項を明確にした工事項目、金額(単価/㎡、単価/㎥)を精査しますと、「労務費」、「材料費と消耗品費用」、「諸経費」、「現場管理費」、「会社経費」の積み上げ金額というのがわかります。

当協会会員が積算した場合の適正金額とは、公共事業の費用、単価を基準に労務費、歩掛で算出しております。

ビルインの原状回復工事の場合、ビル運営のルール(館内規則)により施工条件が規制されてますので、施工条件を考慮に入れる必要があります。

そのようなことから「適正査定」とは、公共事業の建築工事費を基準としており、労務費、材料費、諸経費、現場管理費、会社経費と施工条件を考慮し、査定した建築費となります。

Aグレードビル、スーパーグレードビルの指定業者の見積りと入札業者の見積りを比較しますと、2倍以上の見積りは普通に提示される不透明な業界です。

小川友幸 小川 友幸 (Tomoyuki Ogawa)

一般社団法人RCAA協会 理事

  • 原状回復・B工事査定員
  • 一級建築士
  • 管理建築士

建築設計監理業務に従事し30年を超えるキャリアにおいてオフィスビル、社会福祉施設、環境関連施設、商業施設、住宅等 多用途において官・民双方の事業について企画・設計・監理の中で クライアント・施工者のとりまとめを得意とする。また、原状回復に伴う適正評価、大規模修繕計画並びに設計、耐震診断・補強設計に伴う改修設計のコンサルティングする。現在、日建学院の講師も務めており、この穏やかな人柄が生徒にも人気!

適正な原状回復 ―Social goodなイノベーション―

EVのカーシェアリング,コーヒーのフェアトレード。最先端のテクノロジーがなくても,小さな疑問から社会を良くするビジネスが生まれます。たとえば,Economyを「経済的」よりも「無駄をなくす」と訳すとぐっとSocial goodに近づきます。企業が天然資源の無駄使いを減らせば,費用を下げ利益を増やすだけではなく,環境問題の改善につながります。このような社会問題の解決と利益の拡大の両立に取り組む企業が増えています。企業による価値創造を通じた社会問題の解決をCreating Shared Value (CSV)と呼びます。事業活動を見渡し,小さなEconomyな改善を積み上げていく。世界ではSDGsを達成するため,Social goodな,CSVな,ビジネスのイノベーションが進んでいます。日本では賃貸オフィスを退去する際に厳しい原状回復を求められます。無駄な廃棄物を発生させず,既存の施設や設備を有効活用した原状回復工事はSocial goodなビジネスと言えます。RCAA協会は適正な原状回復をする企業の方々をサポートしています。

井尻直彦教授 井尻 直彦 教授 (Naohiko Ijiri)

日本大学経済学部教授、前経済学部長。

専門は国際経済学。静岡英和学院大学を経て、2003年より日本大学経済学部に奉職。OECDコンサルタントなどを経験。

日本大学経済学部卒業、英国Nottingham大学大学院修士課程(MSc)修了。

2019年よりNPO法人貿易障壁研究所(RIIT)を立上げ、理事長・所長を務める。
【NPO法人貿易障壁研究所(RIIT)】:https://riit.or.jp
【研究業績】Research map https://researchmap.jp/read0193441

原状回復 民法改正について

原状回復義務については、これまで明文規定はありませんでしたが、今回の改正民法第621条により、通常損耗部分を除いた損傷部分についての原状回復義務が明文化されました(但し、賃借人に帰責事由がない原因の場合は負担が免除されます)。これは従前の判例法理を明文化したもので、実務的な変化はありません。
しかしながら、今回条文に明記されたことにより、賃借人が消費者(消費者契約)の場合は、通常損耗部分の負担特約について消費者契約法第10条により無効とされる可能性が強くなったと考えられます。

弁護士 野間啓 弁護士 野間 啓 (Kei Noma)

一般社団法人RCAA協会 法務担当
東京山手法律事務所 代表弁護士

原状回復の紛争前解決、建築施工不良訴訟、敷金、保証金返還訴訟など、建築、不動産のトラブル解決に100件を超える実績がある。

※「原状回復適正査定」、「B工事適正査定」は、一般社団法人RCAA協会の登録商標です。

※「原状回復適正査定目論見書」、「B工事適正査定目論見書」は、一般社団法人RCAA協会会員である株式会社スリーエー・コーポレーションの登録商標です。