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東京発「セットアップオフィス」を考察する

東京のオフィス市場で広がるセットアップオフィスの背景と、原状回復・B工事を含む移転実務の課題を踏まえて新しいオフィス戦略を解説する内容
目次

    セットアップオフィスが東京で生まれた社会的背景

    東京のオフィス市場で最近耳にする、新しいオフィスの選択肢「セットアップオフィス」を分かりやすく解説します。

    突然の非常事態宣言でコロナパンデミックはライフワークスタイルを激変させました。

    三密回避によりオフィス不要論が叫ばれ、結果的に原状回復が激増し、居抜きで退去、居抜きで入居を希望するテナントが激増し戦後初めての高い空室率となりました。

    移転元の原状回復工事・移転先B工事を繰り返すスクラップ&ビルドのオフィス移転。民法改正で原状回復も敷金制度も指定工事業社制度も、透明かつ公正に近づきました。

    しかし、中小ビルオーナーはこれでは存続は厳しいと思い、新しいオフィスの選択肢に挑戦しました。それが「セットアップオフィス」です。

    コロナ前のオフィス移転では、一般的には20年前であろうが30年前であろうが「原状」と定めた状態に回復しました。基準階仕様という、床・壁・天井を新しくする工事です。

    指定業社制度を利用して競争を回避し、工事費は敷金という高額な預託金より差し引く。

    テナントが「工事費が高い」と不満を言えば、「上席に相談します」と引き伸ばしたうえ、明け渡し期日が近づくと、低姿勢で「原状回復が終わらないと家賃の倍額の損害金の対象になります」と圧力をかけて一件落着。こんな事がまかり通る業界でした。

    セットアップオフィスとは?

    オーナー側で部分的に内装設備をカスタマイズし用意します。主に、接客スペース、会議室、ラウンジスペース、防音スタジオなどの内装をリニューアルし貸出すスタイルです。

    執務室の内装はテナントに任せますが、ネット環境は充実しています。会議室テーブル、応接セット、デスク、ファイル棚、ロッカーまでセットされているケースもあります。

    中小の古いビルのエントランス共用部、外壁をリニューアルし、各階の区画ごと退去テナントの原状回復工事をセットアップ工事として行い、時代に適応したオフィス移転の新しい選択肢を提供しています。

    テナントのメリット・デメリット

    メリット

    • デザイン設計施行(内装設備工事)に費やす時間と労力が大幅に削減できる
    • 内装設備工事費の大幅削減 (イニシャルコスト削減)
    • 執務室に什器備品を持込み、すぐにビジネスをスタートできる(急ぎのオフィス移転に対応)


    デメリット

    • レイアウトが自社に合わない (レイアウト変更が難しい)
    • 家賃、敷金が高い (ランニングコストの増額)
    • 原状回復工事が高額になる(備え付けの什器備品まで原状回復の対象)
      ※改正民法第621条「原状回復の定義範囲工事内容の明文化」

    中小企業スタートアップには人気です。WeWorkなどから移転のケースも少なくありません。大企業は独自のカラーがあり部門別組織で構成された会社には不向きです。

    ビルオーナー側のビジネスモデルとメリット・デメリット

    • 築年数が古く立地の良いビルを取得する
    • ビル外壁、エントランス共用部をリノベーションして価値を上げる
    • テナントに退去要請、家賃の増額交渉をする
    • 退去区画をセットアップオフィスに改修、その上でセットアップオフィスとして募集を開始する
    • ビル全体の家賃が高くなったら(レントロール確定)売却しPM・BMを受諾する

    デメリットは、売却するまでに数年の時間と改修工事の立替費用がかかることです。

    ビジネスチャンスはPM、BM、リーシングを受諾しているビルオーナーのM &A、事業承継や相続の機会です。遺産分割協議も知見と時間がかかります。

    近年はオフィスも集約から分散がトレンドなのでセカンドワークプレイスとして活用も多いです。しかし競合不動産会社に模倣され、さまざまなセットアップオフィスがあり競争が激しくなっています。

    また、シェアオフィス、レンタルオフィス、コワーキングスペースなど、様々な類似サービスが提供されています。

    「セットアップオフィス」は東京発の和製英語です。セットアップオフィスのブランドが認知されポピュラーになるのかは、近未来のマーケットが決めることでしょう。

    https://rcaa.or.jp/workplace/workplace-2955/

    アメリカの賃貸事情

    キャピタリズムの権化アメリカの賃貸契約は法定更新のない定期建物賃貸契約です。家賃も契約期間は固定されます。想定外のことが起きれば(事情変更の原則)、最適解を求めて挑戦します。テナントが自ら転貸人となりサブリースし、コロナ禍でオフィス面積が半分で足りれば残り半分をコワーキングスペースやサービスオフィスとして貸出します。

    アメリカ西海岸・東海岸、特にNY、シカゴ、ボストン、マサチューセッツはサブリースが増えています。サブリースは全てのオフィスの10%を超えます。

    不動産会社と違い利益をあまり追求せず家賃の負担を透明で公正にします。転借人はシナジーが見込めるスモールカンパニー、スタートアップ、腕にスキルのあるフリーランサーです。

    上記理由により、オーナーとの直接契約の賃貸物件よりサブリースの方が賃料が安い物件がよく見受けられます。ソフトローの国家は、とにかくクイックに対応して変化対応力が高いです。混迷の転換期、ソフトローの法治国家がよいのかもしれません。

    ワンポイントアドバイス

    [1]ファイブアイズの国々は、ワークプレイスストラテジストが人気のビジネスになりました。DXに[2] SIer(エスアイヤー)が求められるように、ワークプレイスもクライアントの代理人(アターニー)が活躍しています。

    日本のオフィス移転で注意が必要なのは「原状回復」という名前のセットアップオフィス工事です。セットアップオフィスを退去する場合の原状回復の定義範囲、工事内容の明文化は専門知識が必要です。

    そのような場合は、当協会の専門家にご相談下さい。原状回復工事・B工事適正査定まで無料です。

    ご相談お待ちしております。

    [1] ファイブアイズ・・・米国、英国、カナダ、豪州、ニュージーランド五カ国から構成され、政治的、軍事的な情報を共有する同盟のこと

    [2] SIer(エスアイヤー)・・・システムインテグレーターの略称

    ※上記コラムはデータに基づく協会理事 萩原 大巳の所見です。

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    投稿者プロフィール

    萩原 大巳
    萩原 大巳理事
    【協会会員】株式会社スリーエー・コーポレーション 代表取締役CEO
    ・ワークプレイスストラテジスト
    ・ファシリティプロジェクトマネージャー

    オフィス移転アドバイザーとしての実績は、600社を超える。原状回復・B工事の問題点を日経セミナーで講演をする。日々、オフィス・店舗統廃合の相談を受けている。オフィス移転業界では、「ミスター原状回復」と呼ばれている。

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